停留睾丸は手術以外で治らない?
Q 3月まで住んでいた街の病院で、3歳の息子が停留睾丸(こうがん)かもしれないからと、早めの手術を勧められました。手術以外で治る方法はないのでしょうか?(泉区・T)
日本では手術以外の処置はなし
不妊などの原因になるおそれも
停留睾丸(または停留精巣)とは、腹部から陰嚢(いんのう)の中に睾丸が下りていない状態。
睾丸は胎児期には胎児の腹中にありますが、大抵の場合は妊娠8〜9カ月頃に陰嚢の中に下りてきます。産まれた時点で下りていないケースは約4%、1歳では約1%という結果がでています。
睾丸がおなかの中にあるままだと、腹内の組織に圧迫されて成長が妨げられ、精子を作る能力が落ちる恐れが。この能力が一度低下すると、機能改善はしにくいものです。また中に留まることにより、睾丸が悪性化する可能性もあります。腹内に留まっている期間が長くなるほどその危険性が高まりますので、2歳くらいまでには、陰嚢に睾丸を下ろしてくる必要があるのです。
欧米ではホルモン剤を使う薬物療法も用いられていますが、不確実なこともあるため、日本では手術による処置が一般的。約30分ほどで終わる、それほど難しい手術ではありません。
停留睾丸は、睾丸が陰嚢のかなり上部にある移動性睾丸(移動性精巣)と間違えられる場合も多いもの。こちらは治療の必要はありません。
ですからまずは、停留睾丸であるかどうかの確認を。そうであったら、速やかに手術する事をおすすめします(こども病院など、子ども専門の泌尿器科へ)。大きくなるにつれ、機能的な心配のほか、手術への子どもの恐怖感も増してきます。
普段から親が、入浴の際などにさわるなどの確認をしましょう。
チェック! |
〜停留睾丸〜 |
1 |
停留睾丸は、早期発見、早期治療の必要あり。2歳くらいまでの間は、入浴時などに触って確認を。 |
2 |
腹内に睾丸が留まる期間が長いほど、精子を作る機能が低下し、不妊の原因にも。また悪性になる場合もあるので、注意が必要。 |
3 |
ただし、出生後6〜9カ月の間は睾丸が陰嚢に下りていなくても、あまり心配しなくてもよい。 |
4 |
日本では、手術による治療が一般的。 |
|