■2004.8月号 vol.13 扁桃腺炎について/扁桃肥大について
 扁桃炎は昔からなじみのある病気なので、お母さん達はきっと多い病気だと思っているはずです。扁桃が、発赤・腫大して、表面に膿が着くことが特徴で、症状は発熱・のどの痛みです。他には、首のリンパ腺が腫れたり、痛みがでることもあります。厳密に言えば扁桃にのみに病変が限局するので、咳や鼻水などの症状は見られません。3〜4才から学童中期に多く見られますが、熱が出る病気のせいぜい10%ぐらいです。細菌によることが多く、溶連菌・インフルエンザ菌・ブドウ球菌などが原因になります。

 同じような名前で咽頭炎という病気があります。カゼの一つで、のどの痛みだけでなく咳や鼻水を伴うことも多く、ウイルスが原因となることがほとんどです。

 夏になるとのどの痛みと高熱を伴う、いわゆる夏カゼが多く見られます。代表的なヘルパンギーナはエンテロウイルスが原因で、強い痛みと高熱が症状で、のどに水疱や潰瘍がみられます。プール熱はプールを介して伝染することから、名前がつきました。アデノウイルスが原因で扁桃炎の形をとることも多く、高熱と結膜炎(目やに)が特徴です。この病気に感染した場合は、出席や登園停止となることを覚えておいてください。

 細菌性の扁桃炎の場合の治療は、抗生物資の投与です。明らかにウイルス性と考えられる場合は、熱が高くとも抗生剤の必要はなく、対症療法だけとなります。のどの痛みが強い場合には、無理やり食べ物を与えることはかえってストレスの原因になります。水分の補給を心がけて、食べやすいものを工夫してあげましょう。扁桃炎には、溶連菌感染症や特徴あるウイルスの病気が隠れている場合もあります。疑われる場合は早めに診断を受けるよう、心掛けましょう。

 扁桃肥大について

 のどが腫れているという言葉をよく聞きますが、扁桃は乳児期から学童期にかけ大きくなり、成人になるとほとんど小さくなってしまいます。大きさには個人差があって、いつも見ていなければ扁桃が腫れているかどうかの区別はできません。扁桃の大きさを記憶していることは不可能ですし、のどの赤さにも個人差があるため、のどの赤みも一様には判断できない場合があります。

 扁桃を取るという話も耳にしますが、肥大の診断には扁桃の大きさだけではなく、年齢も考慮しなければなりません。扁桃が肥大してくると空気の通り道が狭くなり、鼻詰まりやいびきなどがみられます。程度が強くなると呼吸への影響や睡眠時の無呼吸の原因になり、長期に渡る場合には肺や心臓に負担がかかってきます。このような状況では、扁桃を取ること(摘出)を考えなければなりません。他にも1〜2ヶ月ごとに繰り返す扁桃炎、扁桃が細菌の巣になっている場合や、腎炎や中耳炎の改善が悪い場合にも考慮されることになります。

 肥大があっても症状がなければ、放っておいて(様子を見て)も構いません。たとえは良くありませんが、目や耳が大きいから取るということはないはずです。決して大きいという理由だけで、扁桃を摘出するものではありません。

 また扁桃摘出の基準は小児科と耳鼻科では微妙に異なることもあります。扁桃摘出を考えるときには、医師によく相談して十分な説明を受けた上で判断したいところです。


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