■2004.4月号 vol.9 ひきつけについて
今回は、お母さんに大きな不安を与える「ひきつけ(けいれん)」について考えてみましょう。きっとお読みになっているお母さんの中にも、初めてのひきつけでびっくりされた経験をお持ちの方も多いはずです。

 ひきつけとは、どんな状態をいうのでしょう。一般的なひきつけは、体を硬直させたり、ガクガク震えたりすることをいいます。呼吸が抑制されるため、呼吸が乱れたり、顔色が悪くなったり、チアノーゼと言って唇などが紫色になります。また泡を吹いたように見えたり、よだれを垂れ流したりすることもあります.今にも命にかかわるように見えます。ここで大切なのは意識がない、つまり呼びかけなどに応じない、ということです。

 子どものひきつけの大部分を占める「熱性けいれん」について話しましょう。これは、生後4ケ月からだいたい6歳までにおこり、10人から20人に1人の割合でみられます。発症は1歳代が多く、また男児に多い傾向があります。特徴は、名が示すように発熱に伴ってみられることです。高熱の時に見られることがほとんどですが、熱の急な上昇に伴うこともあり、ひきつけて初めて熱に気付くこともあります。持続は、長くても20分以内で、多くの場合は5分以内に止まります。唇の色が悪くなったりするため、傍にいるお母さんたちは、とても長い時間に感じるかもしれません。熱が出ることにより繰り返したりしますが、良性の病気と考えられています。熱が急に上がると寒気がし、ガクガクと震えることがありますが、意識があれば悪寒と呼ばれるもので、けいれんと区別できます。

 さて、ひきつけを起こしたらどうしたらよいでしょうか。お母さんが慌てても、ひきつけは止まりません。以下にお母さんがすることを箇条書きにしておきます。

 1.おでこに手を当てるか、体温を計り熱のあることを確認します。
 2.起こった時間を確認し、衣服をゆるめ、吐物を誤嚥しないように大丈夫なように顔を横に向けてください。
 3.どんなひきつけなのか、観察しながら治まるのを待ちます。ひきつけの形には、ガクガクする以外に、硬直することもあります。舌を噛むのを心配して、指や割りばしなどを口に入れてはいけません。ゆすったりなど、刺激を与えないように待つことが大事です。ほとんどは5分以内に止まりますが、止まる気配がなく不安が強ければ、救急車を呼ぶこともやむを得ません。
 4.けいれんを繰り返すこともあり、意識が戻らないなどの心配があれば、念のため病院を受診することを勧めます。止まって、意識が戻って普段と変わらないようであれば、そのまま様子を見てもいいでしょう。そして止まった時間を確認しておきます。

 文章にすると簡単ですが、ひきつけを起こし、冷静にしていることは難しいことです。もちろん、熱がなかったり、部分的なひきつけが見られたり、持続時間が長かったり、何度も繰り返しているような場合には、熱性ひきつけ以外の病気が隠れている可能性もあります。心配であれば、いつでも受診するようにしましょう。

 最後に、お子さんがひきつけを起こした時はこの記事を思い出して、お母さんがしっかりすることが一番大切なこ
とだと思います。


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