■2004.6月号 vol.11 風疹について/水痘について
 原因は風疹ウイルスで、幼児や学童が多く罹患します。不規則な間隔で局地的に流行しやすく、春から初夏に多く見られます。飛沫で感染しますが、麻疹や水痘ほど伝染力は強くありません。不顕性感染(かかったのに症状がでない場合)が20〜40%と多いのがひとつの特徴です。

 症状は大きく分けて、発疹・リンパ節腫脹と発熱です。発疹は、バラ紅色で小さく孤立上で、一見きれいでかゆみがあります。顔面から始まり、体、四肢へ広がり3日程度で消失するため、「三日はしか」とも呼ばれています。リンパ腺腫脹は、耳介後部、後頭部などに見られ、比較的大きく、圧痛(押すと痛む)があります。発熱は、約半数にみられ、2〜3日で解熱します。成人がかかった場合はひどくなることが多いようです。その他、結膜充血、咽頭痛、咳嗽などの風邪に類似した症状が見られることがあります。

 症状が軽いため流行期以外では、診断が難しい場合があります。合併症としては、意識の変化やけいれんを伴う髄膜脳炎(1/5000人)や出血斑や歯茎、鼻等からの出血がみられる血小板減少性紫斑病(1/3000人)があります。

 最も重要な合併症は、先天性風疹症候群で、妊娠早期の妊婦がかかると小頭症、白内障、心疾患等の奇形の子どもが生まれる可能性が高くなります。ここ数年局地的な流行が問題になり、今年は既に先天性風疹症候群のお子さんが2例報告されています。

 治療は対症療法のみなので、予防が重要です。予防接種は定期接種で、90ケ月まで無料で受けられます。予防接種の対象者が変わったため、未接種のお子さんが多いということが指摘されています。女子中学生への調査で「風疹にかかったことがある」と回答した血液を調べたところ、風疹の抗体がなかった生徒が15.3%もいます。診断が難しいこともあり罹患がはっきりしない場合、未接種者や予防接種歴が不明な場合は、任意接種(90ヶ月以降)となりますが、合併症や先天風疹症候群のことを考えると是非受けるようにしたいものです。

 水痘について

 原因は水痘帯状疱疹ウイルスで、年齢的には2〜8歳の間に最も多くみられます。飛沫及び接触感染で広がり、感染力が強いため、兄弟ではほぼ100%感染することになります。成人で見られる帯状疱疹も、このウイルスによって起こります。

 症状は、大きく分けて発熱と発疹です。発熱は37〜38℃台で、発疹の出始めにみられることが多いのですが、約25%では発熱が見られません。発疹は、紅斑〜丘疹〜水疱〜痂皮(赤いぶつぶつが盛り上がって、水ぶくれからかさぶたになる)の進行が極めて早いのが特徴で、普通の経過は約1週間程度です。発疹出現前日頃から全ての水疱が、かさぶたになるまでは、感染の可能性があります。合併症としては、細菌による二次感染があり、希に肺炎や脳炎などもみられることがあります。

 治療はウイルスの増殖を押さえる薬剤があり、有効性が確認されています。予防法は、水痘ワクチンの接種で、任意接種となります。その効果は70〜80%程度と考えられ、感染しても軽症で経過することがほとんどです。

 発疹が完全にかさぶたになるまでは他人への感染の隠恐れがあるため、集団生活はできず、学校保健法では出席停止として取り扱われます。水痘も、予防可能な病気のひとつです。かかりつけの先生によく相談して、自己防衛としての予防接種を考えてみてください。


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