■2003.6月号 vol.1 食中毒・0-157
 そろそろ食中毒が心配な季節になります。食中毒という言葉が一般的ですが、食べ物だけを介して起こる場合を食中毒、食べ物以外にも人などを介する場合を感染性(細菌性)胃腸炎と呼ばれています。原因にはウイルスの場合がありますが、今回は細菌に限ってお話をします。食中毒は感染型(代表的なものにサルモネラ菌・腸炎ビブリオ・病原大腸菌など)と毒素型(代表的なものにブドウ球菌など)に分けられます。両者で多少症状は異なりますが、発熱、嘔吐、腹痛、下痢などがあります。治療は抗生物質の投与や脱水に対する対応が中心となります。嘔吐や下痢の症状は、ある意味では生体の防御反応(摂取した細菌や毒素を体の外に出そうとすること)と考えてください。鎮吐剤や下痢止めの使用は必ずしも正しい治療とは限りません。吐くから吐き止め、下痢だから下痢止めと安易に望まないで下さい。

 この病気で最も大切なものが予防です。そして同じように予防が大切とされているのがO−157です。O−157は血性(ほとんど便の成分がない)下痢が特徴で、症状は腹痛を伴う水様性下痢で始まり、次第に下痢の回数が増加し、1〜2日後に鮮血が混入し、典型的な場合は血性下痢となります。毒素によって溶血、腎不全やけいれんなどがおこり、重症化して死亡の原因ともなります。治療法は確定されていませんが、初期には抗生物質が一般的には使用されています。また最近では、毒素を吸着させる薬ができ、効果を上げてもいます。

 予防は細菌や毒素のついたものを口に入れないのが原則です。食べ物は充分加熱することが最も大切です。70℃で1分以上(中までしっかり)加熱すれば細菌は死滅すると言われています。

 次に食品の保存の仕方です。
4℃以下に保てば細菌の増殖は抑えられますが、冷蔵庫には余裕を持って収容し、扉の開閉も最低限にするよう気を付けて下さい。汚染されたものから他のものにも広がるので、包丁やまな板にも気を配りましょう。基本的なこととして、手指の洗浄消毒が大切なのは言うまでもありません。腹痛、下痢が続く場合は速やかに受診しましょう。

 良い病院・医師と良い患者

 良い病院、医師をさがすことは難しいことですが、最も簡単な方法は、お母さんたちの評判を聞いてみることです。そして多少の医学的知識を身に付け、実際に行ってみるとよいでしょう。医師の機嫌を損ねたらどうしようなどと考えずに大切なお子さんのために疑問や不安を解消するよう、病気や治療法について納得できる充分な説明を引き出しましょう。そしてどの病院がお子さんに最も適切なのかを選択しましょう。

 患者さんは素直に痛みや不安を訴え、疑問を解消し、安心して医師の治療を受けられることが大切です。安心が医師との信頼関係を生み、その信頼が更なる安心を与えてくれるのです。自分のため、子どものために医療を受けるという強い意識を持つこと、それが本当の意味で良い患者さんでしょう。


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2003.6月号 vol.1 食中毒・0-157