A医療相談のメリットデメリット(表1)
 医療相談から見えてくるメリットデメリットについて、医師側と患者側として取り上げてみた。相談者側のメリットとしては、相手の顔を見ない、自分の都合に合わせた気軽さ、そして無料であることである。デメリットとしては、相談による混乱や不安や心配の増強がある。また医師側の最も大きなメリットは、患者の心理の把握だろう。本来自分に対して向けられることのない、患者の不安や不満などの心理を垣間見ることが出来る。相談者は様々な事情で不安心配が解消できず、やむなく相談をしている。医療相談を通 して解消することが出来れば、わずかでも小児医療の信頼性に貢献できるかもしれない。普段接することの無い病気の質問などもあり、知識の確認も含め自分自身の学習にもなることもメリットの一つある。医師側のデメリットとしては経営には役に立たず、時間的な負担が大きいことである。また相談によるトラブルの発生や巻き添えの可能性もある。回答に不満が大きい場合、かえって小児医療に対する不信感を増す可能性も否定は出来ない。
B医療相談の問題点
INETの普及に従い、様々な新しい問題点も指摘されている。情報の正当性など、別 な観点から問題点を抽出し、表2に示した。医療相談はには危険をはらんでいるが、きめ細かい対応ができれば混乱は最低限に防ぐことが出来る。医療相談を行う立場からの問題に対する回避法を表3に示す。医療相談にも問題があることは否めないが、現実に相談者は情報を求めている。患者を混乱から救い出すためにも、正当性のある情報を提供することは小児科医に与えられた義務であろう。
3.医療相談アンケート
 回答者側が考えた問題点を確認することと、相談者の意識、満足度、不満、問題点を明らかにする目的で、アンケート調査を行った。対象は平成12年12月〜3月の相談者で記載が完備した431名とし、回収数は229件で回収率は54.9%だった。
 医療相談アンケート項目は全部で26項目として、まず全員に対してはFirst or Second Opinion、回答が役立ったか、不安や心配の解消は、満足の程度、有料化について、医療相談賛成・反対、将来の必要性、必要な理由他、医療相談や小児医療に対する意見を求めた。またSecond Opinionの相談者に対しては主治医から十分な説明を受けたか、他の医師の意見を求めた理由、聞けなかった理由などについて意見を求めた。
 アンケート結果を設問ごとに検討する。医療相談の必要性(図4)では、90%以上が賛成と答えている。また今後の必要性についても、これまた90%以上が、必要と答えている。必要となる理由(図5)については、簡単便利だから36.1%、医師に聞きにくいから30.9%、無料だから12.6%、その他であった。簡単便利だからという理由が最も多く、一安心した。しかし医師が話してくれないという理由も多く、患者の意識だけかもしれないが反省の材料と思われる。返事の満足の程度(図6)では、十分満足したが約40%で、満足と答えた相談者を含めると80%を超えていた。満足できなかったのは、わずかに5例(2%)であり、具体的には「今回はたまたま以前に似た事例があり、その回答を参考にという事で、その件とは月齢と内容が微妙に違っていたので残念ながらあまり参考には出来ませんでした」、「もう一度かかった病院に行きなさいという内容だったのでなんともいえないです」などであった。医療相談の必要性については93%で将来的にも必要としていた。


 


3ページへ