4月には実習の学生さんが3人も来て、皆さんには御迷惑をかけたかもしれません。2000年から学生実習を受け入れ、現在まで40人が実習しています。
学生実習を受け入れる理由は、理念である「お母さんの不安・心配の解消」に基づくものです。様々な活動を通して、理念を広める努力をしてきました。しかし、この理念が自分の代だけで終わってしまうことは残念なことです。実習に来る学生さんが全て小児科を目指しているわけではありません。「お母さんの不安・心配の解消」を患者さんに置き換えれば、どの診療科に行っても大事なことなのです。「患者さんの不安・心配の解消」は、医療においては普遍的な理念になりうるのです。診療場面を見学することだけでなく、院内報、HP、医療相談、お母さんクラブ、患者さん専用アドレスなどを紹介、このような活動に対して寄せられる親御さんの生の声を伝えています。医療相談に潜む患者さんの不安、直接医師には向けられない不満、問題が解決した時の喜びなど、作り物ではない本音に触れることは、学生さんに大きなインパクトを与えているようです。また、小児医療に興味を持ってもらうことも、もう一つの目的です。小児医療の崩壊が、目の前に迫ってきています。少子化や子育ての不安の増大による小児医療への社会的要求に対して、小児科医の成り手が少なくなってきていることが問題です。このバランスの崩れが小児科医の重労働の原因となり、マスコミでも盛んに報じられています。問題が取り上げられるたびに、小児科を希望する学生さんが少なくなってきているのです。少しでも小児科医を増やすこと、小児科の魅力を伝えることも実習の目的です。逆に学生実習は、クリニックにも良い影響をもたらします。スタッフたちの張り合い(とくに若い男性の場合は余計にモチベーションが上がります)もでるし、他人に見られている緊張感もいい刺激になっています。
学生さんからは毎回感想をいただいていますが、4月に実習した感想を紹介します。
「先日はお忙しい中、実習に参加させていただきましてありがとうございました。
今までは教科書を開いて勉強することばかりでしたし、4月から実習が始まっても特になにも代わり映えしないものでした。そんな中、先生の病院での実習は僕の医学教育にたいするイメージを良い意味で壊してくれました。本当にこれぞ病院!という環境の中で色々と勉強させていただきまして、自分も遠くない将来そんなふうになって行くんだと感じ、漠然とした将来を身近に感じました。
家に帰ってからホームページ拝見させていただきました。実際に現場で活躍なさっている医師の意見が満載のホームページだからこそたくさんの人が訪れるのでしょうね。また、相談に対する先生の丁寧な返答、温かい返事がさらに人の輪を広げ、発展していく秘訣なのかもしれません。僕もたびたび実習の息抜きに拝見させていただこうと思っています。
スタッフのみなさんにも大変温かくしていただきました。テキパキと仕事をこなしながらも、常に僕に対して気を配ってもらってしまってお世話になりました。先生のところでの実習は先生ご自身による指導はもとより、スタッフのみなさんのしっかりとしたバックアップ・協力体制があってこそ成り立つものだと思います。普通はなかなかそう簡単にはいきませんよね。そういうわけで、病院挙げての学生実習は本当に素晴らしいと感じました。
先生のところで医者としての心構え・スタンスを少しでも学習したことは僕自身としては幸せなことだったと思います。というのはまだ実習はほぼ1年残っているのでその期間に生かすことができるからです。ただ漫然と大学病院での実習をこなしていくのとは雲泥の差ではないでしょうか?。
たくさんの実際的な、楽しい経験をさせていただいてしまったので昨日の大学病院での実習はいつにも増してひどく退屈に感じました。また機会がありましたら是非ご指導のほどよろしくお願いいたします。」
この学生さんは、きっと患者さんとコミュニケーションを考えるいい医者になるでしょう。実習を通して、少しでも医学教育に貢献できればと思っています。実習を受けいれることに関しては、患者さん達の協力も必要です。待ち時間が長くなったり、学生さんに診察をさせたり、点滴の介助、赤ちゃんの抱っこなど、いろいろと御迷惑をおかけするかもしれません。感想にもあったように、大学病院とは違う、かわむらこどもクリニックの特徴を活かした、学生実習を続けていきたいと思います。院長とスタッフのクリニックだけではなく、患者さんも一緒になった教育が必要です。これからも学生さんが、実習に来ます。いろいろな意味で医者の卵を育てるために、温かい言葉を掛けてください。そして、これからも御協力をお願いします。
学生実習記念写真 |