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小児科ミニ知識
下痢2
前回から間隔が空いてしまいましたが、今回は下痢の治療についてお話ししましょう。
下痢の症状として最も注意をしなければいけないのは、脱水症だということを前回お話ししました。脱水症の予防と治療は、お腹を休ませることと水分の補給が基本です。腸を休ませるためには、消化吸収がよく、余りお腹に停滞しないものを与える必要があります。それで最も適しているのが炭水化物で、昔から下痢をするとお粥を食べるのは、そのためです。ミルクは消化も吸収もよく作られていますが、下痢のときには決してよいとは言えません。与える場合は1/2〜2/3程度に薄めてください。
下痢が重症になると、完全に腸を休ませるために、何も与えないこともあります。そんな時は、水分のみを与えるか絶食にして点滴をするかどちらかです。下痢をすると余計にひどくなるからと言って、水分を与えないことがありますが、それは間違いです。例えばコレラの場合、水分を与えなくても、1日に何Pもの下痢が起り重症の脱水症になってしまいます。重症の下痢では、腸から体内の水分がどんどん失われていくのです。そんな時には、塩分を含んだ水分を補給することが大切です。
補給する水分として最も良いものは、医薬品としての粉末ですが、味を考えると子供用のイオン飲料が適しています。大量でない場合は、経済効率も考えて普通のイオン飲料でかまいませんが、念のため医師に相談してください。
小さい子で、ある程度食欲があり下痢をしている時やお母さんが栄養を心配している時などは、下痢の治療が難しくなることがあります。子供がほしがることや、母親の心配という理由で、下痢に良くないものを与えてしまう場合があります。『二兎を追うものは一兎を得ず』という諺どうり、それでは余り改善は望めません。下痢を早く直すのか、子供のわがままを受け入れるのか、母親の心配を優先させるのかを、ちゃんと決めてかかる必要があります。
下痢に治療の基本は、腸の負担の少ない食物で、お腹を休ませ、失われる以上の水分を補ってあげることです。