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小児科ミニ知識
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赤ちゃんの嘔吐

 今回は赤ちゃんの下痢について、考えましょう。乳児健診で、「うちの子は、吐いてばかりで心配です」と相談されます。果たして、これは心配なことなのでしょうか。のでしょうか。
 まずは一般的な話をしましょう。大人の食事と違って、哺乳という行為は母乳やミルクとともに、必ず空気を飲み込んでしまいます。空気が胃から戻ってくるため、一緒に吐いてしまうのです。また赤ちゃんは食道と胃のつながりの部分が緩いため、生理的に吐きやすいのです。多くの赤ちゃんはげっぷと一緒か、だらだらと吐くのです。もう一つの原因には、飲み過ぎがあります。この時期はまだ満腹を感知するための中枢の働きが未熟で、胃の容量一杯まで飲んでしまうのです。吐いても機嫌が良く、空腹で泣き、次の哺乳もしっかり飲むのであれば、心配ありません。心配のない嘔吐では、もちろん体重も増えているはずです。
 飲み過ぎという言葉を聞くと心配するかもしれません。しかし飲み過ぎと決めてしまうことは、なかなか難しいことです。母乳は飲んでいる量がわからないし、ミルクの量にも個人差があります。この時期の適量を判断することは難しいものです。ですから実際にはある程度自由に与えるしかないでしょう。勝手に飲む量を親が決めてしまって、ひもじい思いをさせる必要はないし、その精神的な影響を考えると感心できません。理性のある大人でさえダイエットは難しいのに、理性のない赤ちゃんに飲む量をコントロールさせることは、ほとんど不可能です。
 吐きやすい赤ちゃんへの対応としては、まず十分にげっぷを出すことです。またげっぷが出にくい時やだらだら吐く場合には、哺乳後上体を高くしてあげることも効果があります。嘔吐したものを気管に詰めてしまうこともあるので、哺乳後はしばらくは目を離さないことが大切です。
 もちろん心配な嘔吐もあるので、注意してください。吐く回数が多く哺乳量が減る、機嫌が悪い、熱が出る、下痢をするなどは、心配な兆候です。生後2週間頃から吐く回数がだんだん増えて次第に痩せてくる場合などは、先天性幽門狭窄症という病気もあります。嘔吐以外の症状を伴う場合には、早めに小児科を受診することをお勧めします。
 育児は不安だらけです、心配な症状と心配ない症状を見極める目を養ってください。