i-MODE
小児科ミニ知識
TOPにもどる

O-157感染症について

 今回は引き続き、腸管出血性大腸菌感染症についてお話しします。
 腸管出血性大腸菌は聞きなれない言葉ですが、O-157と言われれば誰でもおわかりでしょう。これも大きく分ければ食中毒の仲間の一つです。難しい話は、さておきなぜ病原大腸菌O-157が、これほど問題になるのしょうか。それは、死亡することがあるということからです。医学が進歩し、発見が早くなりや治療が進んだため、食中毒で死亡することが少なくなりました。O-157が有名になったのは、19990年に浦和市の幼稚園で死者2名が出たのがきっかけです。昨年の堺市の集団感染は記憶に新しいと思います。 血性(ほとんど便の成分がない)下痢が特徴で、症状は腹痛を伴う水様性下痢で始まり次第に下痢の回数が増加し、1〜2日後に鮮血が混入し、典型的な場合は血性下痢となります。下痢だけで死亡することはありませんが、細菌が産生する毒素(ベロ毒素)によって溶血性尿毒症症候群が引き起こされ死亡の原因になります。これは、毒素によって溶血、腎不全や痙攣などが起こり重症化するためと考えられています。
初期に治療は抗生物質と下痢止めです。抗生物質の使用にも異論がありますが、一般的には使用されています。下痢止めの方は、症状を悪化する可能性のため使わない方向になってきています。下痢しているから下痢止めと、お母さん方も安易に望まないで下さい。溶血性尿毒症症候群の治療は、確立されていません。最近は、毒素を吸着させる薬ができ効果を上げています。
 実際、報道されると多い病気と思われますが、集団の食中毒以外は比較的少ない病気です。まして今年は昨年と較べると、かなり少なくなっています。決して多い病気ではないので、下痢をしたからといって必要以上の心配は無用です。
 感染経路がわからないことが多いのですが、牛などの家畜由来と考えられています。その他汚染された井戸水・貝割れ等々、また人から人への感染も考えられています。
 やはり大事なのは、予防です。予防は、他の感染型食中毒と同じです。
 必要以上に不安を持たず、食中毒予防の基本を守りましょう。また腹痛がひどく、血液が混じった下痢の場合は、速やかに受診しましょう。