朝日ウイル 小児科ミニ知識


予防接種について −インフルエンザ−


 毎年この時期になると話題になる、インフルエンザの予防接種について考えてみます。
 インフルエンザにかかると、どんなことが問題になるのでしょうか。老人の統計では、インフルエンザが流行するとその割合に比例して肺炎での死亡が増加します。つまりインフルエンザは、お年よりの肺炎による死亡率を増加させると考えられています。流行時には老健施設などの集団発生が、マスコミを賑わしてきました。子どもではインフルエンザ脳炎・脳症も、重要な合併症として取り上げられています。
 ワクチンの効果とは、どの程度なのでしょうか。効果には様々な要因が関係してきます。まず第1は、ウイルスの変異です。ワクチンと流行するウイルスが一致しなければ、効果はないわけです。次は抗体獲得の個人差です。予防接種で作られる抗体によって、病気に罹らなくなったり、軽く済んだりするのです。しかし抗体の出来かたには個人差もあるのです。このようなことを総合的に判断すると効果は50〜70%程度と考えられています。
 従来提唱されているうがいや手洗いなどは、予防策としてはほとんど期待できません。治療薬も効果を上げていますが、大事なことは予防と考えられています。期待がもてるものは、現時点では予防接種しかありません。1歳未満でも可能で、13歳までは2回接種となります。13歳以上は1回の接種で有効とされています。今年から65歳以上の予防接種に対しては市町村が接種料金の一部を負担することになりました。脳炎・脳症に対する予防効果ははっきりしていませんが、他に確立した方法が無い以上予防接種を考慮してみて下さい。

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