小児科ミニ知識
扁桃肥大について
扁桃腺が大きいと心配している人も多いと思います。今回は、扁桃肥大について考えてみましょう。
扁桃は年齢とともに大きさも変化し乳児期には小さく、その後10才程度までは次第に大きくなり、その後はまた小さくなり大人では目立たなくなります。肥大の診断には扁桃の大きさだけではなく、年齢も考慮しなければなりません。“扁桃が大きいから取ったほうがいい”とか、“大きいと風邪をひき易い”と言われることがありますが、正しいのでしょうか。どうもこれには医学的な根拠はなく、正しいと言えるものではなさそうです。事実、目が大きい子は目の病気にかかりやすいということもないし、まさか耳が大きいから取るということはあり得ません。
しかし症状や病気の経過によっては、扁桃を取らなければならないこともあります。扁桃が肥大してくると空気の通り道が狭くなり鼻詰まりやいびきなどがみられます。程度が強くなると呼吸への影響や睡眠時の無呼吸の原因になり、長期に渡る場合には肺や心臓に負担がかかってきます。このような状況では、扁桃を取る(摘出)を考えなければなりません。他にも1〜2ヶ月ごとに繰り返す扁桃炎、扁桃が細菌の巣になっている場合や、腎炎や中耳炎の改善が悪い場合にも、考慮されることになります。
決して、大きいという理由だけで、扁桃を摘出するものではありません。また扁桃摘出の基準は小児科と耳鼻科でも微妙に異なることもあります。扁桃摘出を考えるときには、医師によく相談して十分な説明を受けた上で判断したいところです。
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