小児科ミニ知識
溶連菌感染症について
今月は、細菌によって発疹のでる溶連菌感染症について、話しましょう。
これは、ウイルスではなく、A群β溶血性連鎖球菌が原因で起こります。潜伏期は2〜5日で、年齢的なピークは、4〜6歳で、比較的大きいお子さんに見られます。季節は一定しませんが、10月〜3月、初夏に見られることが多いとされています。飛沫により感染し、咽頭炎、扁桃炎として発病します。
症状は、発熱、咽頭痛及び発疹(紅斑)です。突然の38℃以上の発熱と咽頭痛から始まり、1〜2日遅れて発疹が出現します。風邪と違って、鼻水や咳などの症状はありません。発疹は、紅斑で頬・わきの下・大腿内側(ちょうどパンツをはいている部分)から始まり、全身に広がります。3〜4日目には、いちご舌と呼ばれ、舌が赤くなって、ぶつぶつが目だってきます。回復期の7日を過ぎる手足の先端部分の皮がむけることがあります。
同じ原因で、発疹がひどく、皮膚全体が赤くなる場合を猩紅熱と呼びます。適切に治療を受けなかった場合には、中耳炎、副鼻腔炎、蜂窩織炎(皮下に細菌が進入する)などの合併症が見られます。
溶連菌感染症で、最も重要なことは、もう一つの合併症です。発熱後2〜3週間で、腎炎(急性糸球体腎炎)やリウマチ熱が起こってくる場合があります。これらの病気は、一生の問題となるため注意が必要です。
症状のみで、診断は、ほとんどは可能です。合併症を考えると、確定診断が必要なため、疑わしい場合は、喉の細菌の検査を行います。
治療は、抗生物質で、適切に治療を行えば、比較的容易に治癒します。しかし腎炎やリウマチ熱の予防のためには、10日間の服用が必要です。
腎炎やリウマチ熱は、一生の病気です。それを考えると溶連菌感染症も怖い病気の一つです。症状が思い当たる場合は病院を受診し、診断を受けたら決められたとおり薬を服用しましょう。
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