小児科ミニ知識
風疹について
今回は、風疹についてお話ししましょう。
原因は風疹ウイルスで、幼稚園児や学童が中心に罹ります。潜伏期は2〜3週間とされ、不規則な間隔で局地的に流行しやすく、春から夏の初めに多く見られます。飛沫で感染しますが、麻疹や水痘ほど伝染力は強くありません。不顕性感染(罹ったのに症状がでない場合)が20〜40%と多いのがひとつの特徴です。
症状は、大きく分けて発疹、リンパ節腫脹と発熱です。発疹は、バラ紅色で小さく孤立上で、一見きれいでかゆみがあります。顔面から始まり体、四肢へ広がり3日程度でで消失するため、三日はしかとも呼ばれています。リンパ腺腫脹は、耳介後部、後頭部などに見られ、圧痛(押すと痛む)があって比較的大きいため気付かれます。発熱は、約半数に見られ、2〜3日で解熱します。成人が罹った場合はひどくなることが多いようです。その他、結膜充血、咽頭痛、咳嗽、頭痛などの風邪に類似の症状が見られることがあります。
症状が軽いため流行期以外では、診断が難しい場合があります。合併症としては、意識の変化や痙攣を伴う髄膜脳炎(1/5000人)や出血斑や歯茎、鼻等からの出血がみられる血小板減少性紫斑病(1/3000人)があって、近年増加していると言われています。
最も重要な合併症は、先天性風疹症候群で、妊娠早期に妊婦が罹患すると小頭症、白内障、心疾患等の奇形のこどもが生まれる可能性が高くなります。
他のウイルス性疾患と同じように治療は、対症療法しかなく、予防が重要です。幸い、風疹の予防接種は4月から定期接種となったため90ケ月までの児、小学1〜2年生、中学2年生が男女に区別なく、無料で受けられるようになりました。
合併症や先天風疹症候群のことを考えると予防接種は、是非受けるようにしたいものです。
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