小児科ミニ知識


夜尿症について

 今回は、お母さんたちの頭痛の種となる夜尿症について考えてみましょう。
 おねしょは、膀胱の容量が少ないことと排尿の調節が未熟なことによって起こります。一晩排尿しないで済む容量になり尿がたまる刺激で目が覚めるようになれば、おねしょをしなくなります。膀胱容量と排尿の調節機構は5才前後に完成するといわれますが、個人差があって5才過ぎてもかなりのこどもでもおねしょは見られます。(5才 15〜20%、7才 10%、10才 5%、12才 3%)一般に5歳を過ぎてからのおねしょを夜尿症と呼んでいますが、あくまで便宜的なものです。
 おねしょの原因には、発達的なもののほかに心因性のものがあります。これは、精神的不安や緊張によって起こるものです。発達性の夜尿でも、周囲の対応によって心因性の要素が加わり長引くことがあります。
 おねしょをなくすには周囲の対応の仕方が重要で、必ず治ると安心をさせ、寝ている間のことを叱ったり責めたりしないよう注意しましょう。ほとんどは自然に治るもので、困ることは布団が濡れるだけのことです。「焦らず」、「起こさず」、「怒らず」が基本となります。洗濯の量が増えることを理由に、お母さんの感情で怒ったりしないでください。
 日中おしっこを我慢させる訓練、夜間の水分や塩分や糖分の制限、就寝前の排尿の習慣等を、こどものストレスにならない範囲で行うことも効果的です。
 もちろん、病気(糖尿病、尿崩症、尿路奇形など)によっても夜尿症は起こりますが、その頻度は余り多くありません。年長児でほとんど毎日おねしょをする場合は、薬物療法の適応のこともあります。小児科の先生に相談してみましょう。

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