小児科ミニ知識
麻疹について
今回から、ひとつひとつの病気について考えてみましょう。
麻疹という名前を知らない人はいません。しかしその怖さを知っている人は少ないようです。麻疹は、昔から“命定め”といわれ、重い病気のひとつに挙げられ、現在でも命にかかわる重要な病気です。
症状の始まりは、熱・咳・めやに等で、普通の風邪と区別できません。その後一旦熱が下がりかけ、再び熱の上昇とともに発疹がでてきます。顔から始まる発疹は次第に全身に広がり、色もくすんで、たださえ重症に見えてしまいます。熱も高熱(39〜40度)になり、食欲や元気がなくなり、点滴や入院が必要となることも珍しくはありません。麻疹のみでも発熱が約一週間持続しますが、中耳炎や肺炎の合併により発熱が長期にわたることもあります。発疹は、少し色を残して次第に薄くなっていきます。麻疹は重症な病気で、脳炎や肺炎が原因で、この日本でも毎年死亡するこどもが見られます。
麻疹は、麻疹ウイルスの飛沫感染によって起こります。伝染力が強く、発疹がでる前でもうつるため、集団や家庭では感染を防ぐことは不可能です。治療も、直接ウイルスを殺す方法はありませんから、対症療法だけとなってしまいます。もちろん対症療法ですから、麻疹を軽くすることはできません。
重症な病気で、治療法もないわけですから、予防するしか方法はありません。しかし前に述べたように、周りに麻疹がでてしまえば、予防も不可能です。現在もっとも確実な方法は、予防接種です。
これを読んで、1歳過ぎているのに予防接種をしていないお子さんは、早目に受けるようにしたいものです。
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