小児科ミニ知識
リンパ節腫大について
頚部や後頭部にぐりぐりしたものが触れることがあります。今回はリンパ節が腫れること(腫大)について考えてみましょう。
皮膚や粘膜の表面には、ウイルスや細菌を体内に入れない免疫の仕組みがあります。その仕組みが破られて、体の奥まで侵入されると大変なことになります。侵入したウイルスなどを、途中で退治してくれる場所がリンパ節(腺)なのです。リンパ管の途中の節(ふし)なので、病気でなくても触れることは珍しくはありません。
腫れる場所で最も多いのは首の周辺で、のどからウイルスが入るカゼによることがほとんどです。手に怪我をして細菌が侵入すれば腋の下、足の場合はソケイ部と、侵入部位によって腫れるリンパ節が異なります。
健診で「首に固いころころしたものがある」と相談されます。そのほとんどは正常に見られるものかカゼなどの名残りで、他に症状が無ければ心配ありません。他にも汗疹や湿疹でもみられ、風疹などのウイルス感染症の特徴にもなっています。扁桃炎などの細菌の感染症が悪化するとリンパ節の免疫が菌の力に負け、赤みや痛みを伴うようになります。他に心配なものには直径1cm以上のもの、急速に大きくなるもの、ごろごろとくっついているもの、広い範囲などです。わずかですが悪性の病気の可能性もあるため、微熱、倦怠感や食欲不振が続く、顔色が悪い、皮下出血が目立つなどの症状には注意が必要です。
ほとんどのリンパ節腫大は心配ないものですが、不安な場合や他の症状を伴う時には小児科を受診することが懸命でしょう。
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