今回は、冬になると必ず話題になる、インフルエンザのお話をしましょう。
今年の冬の流行はまだですが、診察中時々“インフルエンザではありませんか”と聞かれます。この質問が医者泣かせだということを、皆さんは御存知でしょうか。
さて、どうやって診断するのでしょうか。もちろん、喉に“インフルエンザ”と書いてあるわけではありません。発熱などの症状を総合して、診断するのです。ですから、明らかな流行や家族に同じような症状がいれば比較的簡単ですが、今日初めて熱がでただけという場合には、ほとんど確定診断は不可能です。
インフルエンザの症状は、流行するウイルスの型によって多少異なりますが、年長児や成人では急激な発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・全身倦怠などで始まり、やや遅れて鼻汁・咳嗽などがでてきます。発熱は39〜40℃の高熱のことが多く、2〜3日持続しますが、長くても5日以内で熱は下がります。他に嘔吐・腹痛・下痢などの症状が見られることがあります。しかし乳幼児では、年齢的な違いや訴えが不十分な事もあって、普通
のかぜと区別できない場合もよくあります。確定診断のためには、ウイルスの分離や抗体の検査がありますが、結果
がでるまでに時間がかかるため、役には立ちません。
園児や学童が診断を受けた場合は、出席停止となり、解熱後2日を経過するまで登校は出来なくなります。
合併症としては、気管支炎・肺炎・中耳炎等があり、咳嗽の悪化や発熱の持続が特徴です。数は少ないのですが、痙攣や意識障害がみられる脳症は重症で、注意が必要です。
治療は、普通のウイルスの病気と同じように対症療法となります。予防接種は、定期接種から外れたため、あまり行われなくなりました。
一般的なかぜと同様、予防のためには手洗いやうがいを励行し、規則正しい生活リズムを守るように心掛けましょう。
解説:インフルエンザに対する診断と治療法が進歩しました。のどのウイルスを検査する方法が確立され、開業医でも比較的簡単に検査できるようになりました。小児科では薬剤の関係からシンメトレル(アマンタジン)しかありません。これはA型にしか効果 が無いのが欠点です。成人ではA型とB型両方に効果がある薬剤が実用化されています。吸入で使用するリレンザと経口薬のタミフルと言う薬です。この経口薬の細粒は小児にも使えるようになるようです。 (06/15/2001)