小児科ミニ知識


下痢止め吐き気止めについて


 今回も、引き続きお薬について少し解説してみます。下痢止めや吐き気止めについて考えてみましょう。
 嘔吐すれば吐き気止め下痢をすれば下痢止めと考えるのは、当たり前かも知れません。吐き気や下痢の大部分は、細菌、ウイルスや毒素が原因となって起こります。身体に不都合な細菌などが口から入れば排泄のために嘔吐が起こり、入ってしまったものを外に早く出すために下痢が起こるのです。つまり嘔吐や下痢も、自分を守る防御反応の一つ考えられているのです。気持ちが悪い時に吐くとすっきりする、急にお腹が痛くなって下痢をすると腹痛が治るということは、時々経験することでしょう。こんなときに無理に吐き気や下痢を止めると、かえって症状がひどくなる場合もあるのです。また細菌や毒素などの排泄が遅れ、病気が重症化することもあります。O-157が問題になり、下痢止めを使うと重症化するということが分かってから、吐き気止めや下痢止めの使い方に慎重さが要求されるようになりました。もちろん、これ以外の病気でも嘔吐や下痢が起こります。
 では全く使わないほうが良いのでしょうか。嘔吐や下痢を起こす病気は、他にもあります。全く使わないという訳ではなく、病気や症状に合わせてうまく使うことです。止めるべき嘔吐止めるべき下痢には、従来どうり使うことがあります。この基準は素人には、なかなか判断が難しいものです。医師の正しい診断を受け、適切に使うように心掛けましょう。
 もう一つ大切なことは対処法です。嘔吐や下痢の対処の基本は、お腹を休ませることです。吐いたら3〜4時間ぐらいはなにも与えない、下痢をしたら水分を十分与え穀物を中心とした食べ物を与えて下さい。時々消化の悪いものを与えていながら下痢が治らないというお母さんがいます。薬より大事なことが他にあることも覚えて欲しいものです。
 嘔吐すれば吐き気止め、下痢すれば下痢止めという、意識を変えていくことが必要です。
ミニ知識コーナーに戻る