小児科ミニ知識
お薬について3
今回も引き続き、お薬の話をしましょう。
皆さんは抗生物質という言葉を、聞いたことがあるでしょうか。時々“抗生物質が入っていますか”と聞かれることがあります。さて抗生物質とは、どんな薬なのでしょう。以前にこのコーナーで、ほとんどの風邪はウイルスによって起こることを話しました。抗生物質は、細菌を殺すための薬でウイルスには効果はありません。つまり抗生物質は、基本的に風邪には必要のない薬と考えていいでしょう。しかし熱があって原因がウイルスか細菌であるか区別できない時には、抗生物質と風邪薬を一緒に処方します。また“風邪は万病の元”という言葉があるように、風邪の時に細菌の二次感染が起こることがあります。二次感染とは、中耳炎になったり熱が下がらず肺炎を併発したりする場合を指し、抗生物質の投与が必要です。症状の推移や既往歴(何度も中耳炎になった等)によっては、たとえ熱がない場合でも抗生物質を投与することもあります。
しかし抗生物質は、長期に投与するとからだに必要な細菌まで殺してしまい、下痢が起こったり、抗生物質の効かないたちの悪い細菌が増えたりと、副作用が見られることがあります。“風邪をひいてお薬を飲むとすぐ下痢をする”と訴えるお母さんがいますが、短期の服用の場合は、風邪の症状としての下痢と考えてよいでしょう。
抗生物質だけでなく、どんな薬にも副作用の可能性があります。起こってくる症状と副作用を区別するためにも、服用している薬の内容を知ることが大切です。
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