小児科ミニ知識
咳どめについて
今回も引き続きお薬の話をしましょう。咳が止まらず、夜中親御さん共々苦労した経験をしたことがあるかもしれません。今回は、そんな時に使うせき止めについて考えてみましょう。
咳には、止めてはいけないものがあることを知っていますか。喘息の場合など状況によっては、せき止めを使わないこともあるのです。喘息というと咳がひどいイメージを持ってしまいがちですが、本当のことなのです。
せき止めには、中枢性と末梢性のせき止めの2種類があります。咳や病気の種類によって、それぞれ使い分けられています。中枢性の薬剤は脳に働き、末梢性の薬剤は気管支などに働いて咳を止めるものです。普通の風邪には中枢性、気管支炎には末梢性のせき止めを使います。また症状で分けると乾いた咳は前者を、湿った咳の場合は後者が使われます。もちろんこれらは完全に分けられるものではいため、一緒に使われることもあります。
湿った咳で痰がからんで気道が閉塞されるような場合、生体の防御反応として咳が出ているのです。痰が出なければ気道の閉塞が強まり、状態が余計に悪化することがあります。つまり咳は痰を排泄して、気道の状態をよくするための反応と考えられます。肺炎や喘息などのように痰が詰まって苦しくなるような状態では、中枢性のせき止めは原則として使用しません。末梢性のせき止めは気管支炎などには使われますが、気管の過敏な反応を押さえ、気管を広げることによって咳を止めると考えられています。喘息様気管支炎や喘息の場合には、内服薬以外に吸入薬などを併用することも必要になります。また喘息の薬の中には座薬もあり効果を上げていますが、せき止めの座薬として使われている場合があります。薬の種類によっては危険な場合もあるため、痰に咳が止まらないと言って乱用することは慎まなければなりません。
病気や咳の種類によっては生体の防御反応と考え、ある時期我慢することも必要となります。実際肺炎や喘息で痰の分泌が続く場合には、なかなか止まらないこともあります。咳の意味を理解して、薬は決められたとおりに服用することが大切です。
ミニ知識コーナーに戻る