小児科ミニ知識
赤ちゃんの下半身の病気について 1
まず男女に共通で思い浮かぶのが、鼠径ヘルニアです。これは太ももの付け根の膨らみ〔腫瘤)として気付かれ、いわゆる脱腸とも呼ばれています。泣いたりいきんだりすることによって目立ち、安静や圧迫によってなくなることが特徴のひとつです。男の子の場合には、陰嚢が膨れて気付かれることがあります。内容は腸がほとんどですが、女の子では卵巣も出る場合もあります。普通は片方ですが、両方ということもあります。自然治癒の可能性はあまりないので、治療の基本は手術となります。注意すべき状態は、嵌頓〔かんとん〕です。ヘルニアが出たまま戻らなくなり、血液に循環が悪くなり腫れて痛みが強くなります。機嫌が悪く、膨らみが戻らない、色が赤くなってきたなどは、緊急に病院を受診して下さい。
鼠径ヘルニアと同様に陰嚢が腫れたように見えるものに、陰嚢水腫(精索水瘤)があります。また睾丸が左右で大きさが違うことでも気付かれます。液体がたまっているので、懐中電灯などで透けて見えることが特徴です。鼠径ヘルニアの場合には、透けることはありません。ほとんどの場合この液体は自然に吸収されるので、1歳ぐらいまでは様子を見ていいでしょう。
また逆に睾丸が触れない場合には、停留睾丸(精巣)を考えなければなりません。胎児期には睾丸は体内にあり次第に降りて、陰嚢の中に納まるのです。睾丸が体内に残っていると、成長が妨げられたり悪性化する恐れがあります。1歳すぎには手術が必要となることが多いのですが、睾丸が触れない場合には、早めにに小児科で確認してもらうといいでしょう。
ミニ知識コーナーに戻る