小児科ミニ知識


赤ちゃんの便秘について


 今回は赤ちゃんの便秘について、お話しましょう。乳児健診で、「うちの子は毎日うんちが出なくて心配です」と相談されます。果たして、これは便秘症なのでしょうか。
 まずは便秘と便秘症の区別が必要です。便秘は、一般に2日以上便がでない状態を指します。しかしこれは大人でもよくある事で、特に病気とは考えなくていいでしょう。しかし便秘によって症状がでること(腹痛、食欲不振、お腹がはる、排便に苦痛を伴う)を便秘症と呼び、治療が必要な場合があります。
 しかし便秘だという赤ちゃんの多くは、2〜3日も便が出ないにもかかわらず、よく飲みよく食べています。顔を真っ赤にしていきむことも、親御さんの心配のひとつです。でも考えてみて下さい。大人でも個人差はありますが、排便の時にはいきむものです。赤ちゃんは腹筋が弱いため、いきんでも腹圧が効果的にかからず排便しずらいのです。いきんだかと思えば、次の哺乳では普段とは変わらず機嫌もいいのであれば、特に心配の必要はありません。
 排便の目的は、食物残渣(食べかす)の排泄です。乳児期でミルクが中心の場合には、残渣が少なく便秘になりやすい傾向があります。体質が関係することもありますが、まず第一に考えなければならなのは水分の不足です。この目安はなかなか難しいものですが、体重の増加を判断の材料にすればいいのです。母子手帳などにあるように、体重が増えていれば問題はありません。治療の基本は、水分の摂取量を増やすことと繊維質を多く与えることです。水分を増やすといっても簡単なことではありません。乳児ではちゃんと哺乳できていればいい程度と考えて下さい。離乳の後期になれば、繊維質を多めに与えてみてください。プルーンなどは特に便秘に良いとされています。食事療法で不十分な場合は、マルツエキス等を試みるのも一つの方法です。排便を助けるための、お腹のマッサージや綿棒による刺激もいい方法です。それでも症状を伴う場合は、小児科の先生に相談してください。
 体質と病気を区別することも、育児には大切なことの一つです。

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