小児科ミニ知識
アトピー性皮膚炎について
今回は、アトピー性皮膚炎(以下アトピー)について、話してみましょう。
アトピーはまるで流行している病気のように、育児雑誌やお母さん方の話の中で、よく取り上げられます。本当は、いったいどんな病気なのでしょう。
乳児健診で湿疹が少ししかないのに、お母さん達はアトピー性皮膚炎ではないでしょうかと質問します。まるでアトピーと言われるのを待っているように。病名を付けらることは心配なはずなのに、何となくつけられて安心しているかのようです。ちょっと不思議です。
アトピーは、アレルギーが原因となって起こる皮膚の病気です。一目で普通の湿疹との区別することは、簡単ではありません。乳児期早期には顔を中心とし、次第に全身に広がり、年齢とともに関節の屈曲面に見られることが特徴です。原因は乳児期には食物、幼児期以降になるとダニやホコリ等も原因となります。乳児湿疹との区別は初期には難しく、慢性に経過することにより診断します。もう一つ大事なことは痒みです。痒みの無いアトピーは無いと言ってもいいくらいです。ひどくなると一晩中かきむしって睡眠が障害されたり、下着が血だらけになったりと結構大変な病気なのです。大変な病気なのにお母さん達の多くはお風呂に入って赤くなるからとか、かさかさしているからとか、まるで虫眼鏡でも使って探さなければ見つからないような(ちょっと大げさですが)小さな変化まで、アトピーと心配するのです。お母さん達が子どもの皮膚が絹のようであることを願うことを否定するつもりはありません。しかし、しみや湿疹や肌荒れのない人はいないはずです。ましてその程度の変化が自分の背中にあっても、痒みなどの症状がなければ、自分でも気がつかないはずです。気付かなければ治療もしないのに、どうして子どもの場合は病名を付けて、わざわざ治療しようと思うのでしょうか。
次回は、もう少し掘り下げていきましょう。
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