小児科ミニ知識
アトピー性皮膚炎について−3
アトピー性皮膚炎(以下アトピー)は、症状と経過で診断することを前回お話しました。他に診断の根拠としてはどんなものがあるのでしょう。
アレルギーの検査はどうでしょう。症状がなくてもたまたまアレルギーの検査をすると、陽性に出ることがあります。陽性であればアトピーと言う病名がつくものではありません。アレルギー検査が陽性ということと、アトピーは同じことではないのです。分かりやすい例をあげれば、ダニやほこりのアレルギー検査が陽性に出ても、喘息という病名は付きません。鼻炎の症状があれば、アレルギー性鼻炎ということになるのです。検査はアレルギーの体質は示しますが、病名を付けるためのものではありません。アレルギー検査には血液を採って検査するもの、パッチテストやスクラッチテストなどありますが、考え方は皆同じです。これらの検査は、どちらかというと参考という程度と考えておいたほうが間違いありません。
食べ物との直接的関係は、重要かも知れません。卵などを食べると、明らかに湿疹が出てくる、またはひどくなるということも診断の根拠の一つです。この明らかにということが問題になります。お母さん達は皮膚にぶつぶつが出ると、それが痒みのなく軽いものでも、無理やり食べ物に結びつけたがります。問題は明らかかどうかということで、これが誤解され過剰診断の原因にもなっているのです。なるべく客観的に判断して、先入観を持たないことが大切です。外国ではチャレンジテストをして、アレルギーの原因を実証しなければ、診断しないようです。
次回は、治療について考えてみましょう。
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