小児科ミニ知識


アトピー性皮膚炎について−2


 前回アトピー性皮膚炎(以下アトピー)は、アレルギーの病気であることを話しました。しかしアレルギーが原因ではないと言う人もいます。皮膚の防御反応の障害によって、外界からの刺激によって起こるというものです。またアレルギーであっても、食べ物はほとんど関係しないと言う皮膚科の先生もいます。つまりアトピーの原因は、完全には解明されていないということです。
 それでは診断は、どうやってつけるのでしょうか。答えは症状と経過です。慢性に経過する、かゆみを伴う湿疹ということで診断され、発生の部位には特徴があることを前回話しました。耳切れ(耳の付け根の部分の湿疹)はアトピーの症状の特徴の一つですが、耳切れがあるからといってアトピーと診断するわけにはいきません。同じように赤ちゃんのほっぺが赤くかさかさしていても、よだれや食べ物でかぶれているだけなのかも知れません。だれでも毎日口の回りに食べ物をつけたままでいれば、かぶれて赤くなってしまうものです。
 全身の皮膚がかさかさすることも同じと考えて下さい。冬や季節の変わり目のかさかさは、皮脂の分泌が足りないだけなのかもしれません。湿疹の出来やすさには、多くの場合体質が関係しています。耳切れ、赤いほっぺ、皮膚のかさかさという症状だけで、アトピーと診断できるものでもありません。こう考えていくとお母さん達の心配しているアトピーのうち、ある割合はただの湿疹ということになるかも知れません
。  次回ももう少しアトピーについて考えてみましょう。
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