新  聞

『朝日ウイル』 97年4月26号

発行 北燈社



本 文

 かわむらこどもクリニックの院長川村和久さんは、開院当初から毎月、通院している子供の親たちのための『かわむらこどもクリニックNEWS』を発行している。さらに今年1月インターネットホームページを開設し、子供の病気についての情報を公開した。「子供の病気については様々な情報が流れていますが、なかなか正確な情報が伝わらず、むしろお母さんたちを不安がらせています。診察室でお母さんと話すだけでは不十分と思い、子供の病気について分かりやすく書いた新聞を定期的に出してきました。しかしそれでは、私のクリニックに来ている方たちしか読むことは出来ません。そこで全国の親御さんのためにインターネットを利用することを思いつきました」。
 インターネットには、これまで発行してきた『かわむらこどもクリニックNEWS』の内容が入力してある。インターネットに加入している人は自由にその情報を取り出して読むことができ、さらに電子メール(E-mail)を出せば、川村さんに直接質問もできる。「電子メールで、全国から質問が寄せられています。インターネットにホームページを開設したことによって、世界が広がっています」。
 川村さんは長い間、未熟児新生児治療を専門としてきた。'86年から、日立総合病院新生児集中治療室主任医長として8年間勤めた後、郷里の仙台でクリニックを開院した。「私の仕事は、高度で先進的な治療によって、障害を残さずに未熟児の命を助けることでしたが、未熟児を生んで不安にさいなまれるお母さんたちをたくさん見てきました。お母さんたちは、赤ちゃんが吐く、湿疹ができる、ミルクを飲まないなどというほんの些細なことでもとても心配します。しかし赤ちゃんが正常に発達するためには、母親の精神的安定が一番の薬です。それは、病気の子供をもったお母さんたちも同じです。ですから、なにより安心を与えられるように、充分にコミュニケーションをとることができるような医院にしようと思い、新聞を発行するだけでなく、無料の栄養相談や子供の病気の勉強会などを開いてきました」。開院して3年。川村さんは、フランクに話し合えるお医者さんという評判で、かわむらこどもクリニックが大好き(?)という子供やお母さんも多い。「これからもさまざまな方法で、情報を提供したいと考えています。そして、このクリニックが育児で孤立しがちなお母さんたちの情報交換の場になってほしいと思います」。



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