かわむら こども クリニック NEWS  平成9年 9月号


薬剤一部負担金について

 院内掲示やポスターでもお知らせしていますが、健康保険法が9月から大きく変わったことは、皆さん御承知のことと思います。
 大きく分けると3つの改訂です。健康保険本人の負担が2割に上がったこと、お年寄りの負担の増大、そして薬剤の一部負担金の導入です。
 今回小児科に関係するのが、薬剤の一部負担金です。もちろん全てが健康保険の国の支出を減らすことが目的です。薬剤の使用の割合が諸外国に比べて高いこと、それが支出を増やしていることが薬剤の一部負担金を導入した目的です。
 薬剤は大きく分けて内服薬、頓服薬、外用薬に分けられます。面倒ですが、たまにはこんなことも勉強してみましょう。内服薬は、普通にもらっている風邪薬等の飲み薬です。頓服薬とは必要に応じて使う薬、例えば解熱剤や鎮痛剤のことです。外用薬には軟膏や目薬などが含まれます。薬剤の一部負担金を表に具体的に示しますが、実際にはかなり複雑です。内服薬は薬価(薬の値段)と種類数によって1日あたりの負担金が決まり、その金額に投与日数をかけたのが一部負担金となるのです。また頓服薬と外用薬は種類数に関係なく、処方されれば(もらえば)1種類でも負担をしなければなりません。他にも様々なルールがあって、同じように薬をもらっても負担金額が違うということも出てきます。
 今回の薬剤の一部負担金は本当はおかしなことです。処方された薬剤のお金は保険から払われているわけです。ましてこども(家族)であれば、その3割を負担しているのです。そのうえに薬剤一部負担金を取られるのですから、2重取りと言われても仕方ありません。
 こう書いてくると、負担の不安ばかり増してくるかもしれません。しかし少し安心してください。特例措置として、6歳未満は負担をしなくていいことになりました。このことには、小生も属している日本小児科医会が大きな力を発揮しました。日本医師会でもこのことに気付いてはいなかったようです。医療も福祉と同じように老人の方ばかり向いているのです。そのためこどもや若い親御さんの負担にまで、気が回らなかったのでしょう。小児科医会では、こどもを安心して育てられるという観点から一部負担金の免除を厚生省に申し入れたのです。皆さんの目に見えないところでも、こどもや家族を守るために小児科医は頑張っているのです。
 この一部負担金は当院の場合調剤薬局で徴収されますが、当院や薬局の収入とは無関係です。窓口で支払う金額が増えると医者が儲けると思われがちですが、全く別の問題です。大阪の安田病院の問題が報道されると、医者に対する不信感が増してきます。そういうことの積み重ねが、“医者が儲ける”という言葉に結びついているのです。当院がどうかは、お母さん達が判断してください。
 ところで、やはり気になるのは6歳以上のこどもです。この負担金を少なくするための方法を考えなければなりません。負担金を少なくするためには、同じ効果であれば値段の安い薬を使い種類を少なくすることになります。薬の採用に関して、少しでも負担を少なくする努力をするつもりです。説明をしますが、薬が変わることもあるので御理解ください。また負担金の計算が複雑なため、薬局での待ち時間が増えそうです。
 今回のは改悪以外の何物でもありません。機会があれば、皆さんも反対の声を上げてください。


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