かわむら こども クリニック NEWS  平成14年 7月号


W杯サッカー

 ワールドカップ(W杯)・サッカーが終わり、少し淋しくなりました。皆さんのW杯への興味はどうでした。普段サッカーには興味が無いのですが、古いタイプなのか国の対抗試合となると、どうしても燃えてきます。実際にはルールが一通りわかる程度のにわかファンですから、のめり込むなんて思いもしませんでした。
 W杯が近づくに連れて、話題が多くなってきました。カメルーンの到着劇と中津江村の村長さん。イタリアのキャンプ地仙台と地元放送局のイタリア語講座。しかし評論家の予想では、予選リーグ突破は不可能という見解でした。
 6月4日の対ベルギー戦、期待に大きく胸を膨らませホイッスルを待ちました。最初に得点されたときは、過去の試合が脳裏に浮かび、「もうだめ!、またか」という思いが浮かびました。粘って追いつき2対2の引き分け、W杯で初めての勝ち点を上げました。引き分けに終わったものの、日本は強くなったという印象を持ったのは自分だけではなかったと思います。
 日本代表の活躍や連日の報道で気持ちも盛り上がり、サッカーを生で見たいと思うようになりました。ちょうど、宮城スタジアムでのメキシコとエクアドルの切符を譲り受けることが出来ました。宮城スタジアムまではJRとシャトルバスを利用し、心配していた混雑もなくスタジアムに着きました。スタジアムに近づくに従い、陽気な南米音楽、空も青く晴れ上がり、日本語の看板を除けば、もうそこは外国という気分でした。せっかく南米まで来たんだという気持ちから、サポーターの外国人を見つけ写真を撮ってきたことはいうまでもありません。両国の国旗が入場したときの感動は、久しぶりのものでした。芝生の緑、メキシコの赤と緑、エクアドルの黄色、こんなにきれいな色があるのかと思うほどの感激でした。そして特にメキシコ人の陽気さ、熱心さが伝わってきました。エクアドル選手が入場してきただけでのブーイング、さすが少し驚きました。数の上でもエクアドルと比べはるかに多く、最初から最後まで騒ぎ通しでした。やはり南米の人は違うと、勝手に感心していました。
 その後の予選リーグの日本代表、なかなかのものでした。サッカーの試合が待ち遠しかったなんて、今まではありませんでした。1,2戦は夜だったので、安心してテレビで観戦。しかし第3戦のチュニジア戦、これは予選リーグ突破への大切な試合でした。まさか休診するわけにもいかず、ビデオ作戦を取ることにしました。結果がわかってからでは楽しみも半減するので、家族にもスタッフにも試合結果を伝えないようにして、診療後はまっしぐらにビデオへ。
 そして決勝リーグの第1戦、これまた運が悪いことに日中の試合となりました。サッカーに熱狂している父親の姿を見て、子どもたちからの父の日のプレゼントは日本代表のユニフォームとペインティングのセット。せっかくのユニフォーム。トルコ戦ではユニフォームを着用し、腕に日の丸をペインティングして午後の診療に当たったことは言うまでもありません。もちろんスタッフ全員、ペインティングをして。初めて来た患者さんには、変なクリニックと思われたかもしれません。精一杯の応援の気持ちを表せたと思っています。
 残念ながら、決勝リーグでは1勝も出来ず敗退。しかし、ここまでのサッカーの歴史の中では、大きな進歩だと思います。選手個人の能力の高さもありましたが、何と言ってもトルシエ監督の力が大きかったと思っています。スポーツは団体戦であっても、ともすれば個人の技能が優先される風潮があります。もちろん個人の技能の修練は必要ですが、個人の持っている能力を十分に引きだすことが監督やコーチの力です。トルシエ監督の元で、個人個人の能力が十分引きだされ、そしてチームとしてもまとまりが加えられ快挙を成し遂げたのでしょう。同時に、多くの人々に支えられたことも快進撃の理由の一つでしょう。応援だけがサポーターではありません。会場の準備やキャンプ地でのボランティア、それら全てがサポーターなのです。
 どうしても立場上、小児科医としての思いが浮かんできます。子どもの持っているいる力を十分に引きだす、これが育児の基本かもしれません。子どもたちにとっての監督やコーチは、お父さんやお母さんなのです。そして我々も、サポーターとして子どもたちを応援していきたいものです。

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