かわむら こども クリニック NEWS  平成18年 7月号


W杯サッカー06

 2002年の日韓ワールドカップ(W杯)・サッカーの記事を掲載しましたが、熱く燃えた今年のW杯についても書いてみます。皆さんのW杯への興味はどうでした。ワールドベースボールクラシック(WBC)の時も書きましたが、古い人間なのか、日本代表というと愛国心が芽生えどうしても燃えてしまいます。
 御承知のように予選リーグはグループFで、オーストラリア、クロアチア、ブラジルが対戦相手でした。事前の下馬評では、我が日本のグループリーグの突破はかなりの確率の高さでした。この評価は国内のもので、試合が近づいてくるに従い海外の評価は次第に低くなってきました。W杯に臨む日本代表は30日開催国ドイツと親善試合を行い、高原選手が2ゴールを決めて2-2で引き分けました。従来から言われている決定力不足という点からは、何か本戦でも期待を抱かせるような結果となりました。
 いよいよ、予選リーグ。6月12日の第1戦の相手は、オーストラリア。試合に当たって日本代表のユニフォーム着用の予定でしたが、会議などの忙しさに紛れ購入できなかったのは残念でした。日韓W杯では、ユニフォームを着ながら診療をしていたのに。4年ぶりのW杯の興奮からか、1時間も前からテレビにくぎ付けとなりました。格下の評価の相手にもかかわらず、序盤は完全にオーストラリアペース。しかし、GK川口選手がスーパーセーブを連発。本当に「危ない…」の連続でした。その後、守備を固めながら苦しい時間帯をしのぐと、カウンターから徐々に盛り返し、中村選手が先制ゴール。この瞬間、それまでの劣勢も忘れ、気持ちは一気に予選リーグ突破へ。後半は、冷や汗をかきながらの観戦。ロングスローをきっかけに後半39分、「あれ?、川口どうした」との声とともになんとついに同点に。日本チームの体力の限界とあきらめからか、日本は終盤まで勝利を手にしながらも1-3の逆転負けで、初戦を落してしまいました。予想もしない敗戦に大きなショックを受け、以後ユニフォームを買う気力も生まれませんでした。初戦を落したことで、予選リーグ敗退は濃厚なものとなりました。続く6月18日のクロアチア戦、両チームともチャンスを活かせないまま結果的には0-0の引き分け。これで、予選リーグ敗退は決定的なものとなりました。しかし、そこであきらめないのが愛国心、フラジルとの最終戦に向けて、早めのお休み。甘い期待の中朝4:00には、遠足に行く早起き少年のように一人だけテレビの前で待っていました。前半34分、ちょっとした隙をついた玉田の先制点で、予選リーグ突破の夢も。しかし、その後の展開で夢はやはり夢でしかないことを痛感。ブラジルとの実力の違いを、いやというほど見せつけられてしまいました。
 WBCのイチロー程ではなかったにしても、中田英寿は本当によくチームのために頑張ってくれました。時々チームメイトとぶつかり合いながら、本当に日本のために力を尽くしてくれました。ガムを噛みながらプレーしていたN選手とは、大きな違いでした。クロアチア戦後の「勝てる試合をもう1度落としたなという感じ。チャンスをちゃんと決められなかった。正直、勝てるチャンスは十分あった。非常に残念です」が、印象的でした。どの試合でも全力で望み手を抜くことなく、人一倍動き回っていました。ブラジル戦での獅子奮迅の働きは見事としか言いようがなく、精も根も尽き果てたのか、人目もはばからずピッチに横たわっていた姿は何を意味していたのでしょうか。大きな何かを失った中田選手が涙を流していたように見えたのが、妙に印象的でした。
 残念ながら、予選リーグでは1勝も出来ず敗退。やはり世界との実力の違いを思い知らされた。ジーコ監督は何を残してくれたのでしょう。中田選手だけが光った、ワールドカップのような気がしました。スポーツは団体戦であっても、ともすれば個人の技能が優先される風潮があります。もちろん個人の技能の修練は必要ですが、個人の持っている能力を十分に引きだすことが監督やコーチの力です。
 どうしても立場上、小児科医としての思いが浮かんできます。子どもの持っている力を十分に引きだす、これが育児の基本かもしれません。子どもたちにとっての監督やコーチは、お父さんやお母さんなのです。そして我々も、サポーターとして子どもたちを応援していきたいものです。

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