かわむら こども クリニック NEWS  平成13年10月号


米国同時多発テロ

 9月11日深夜テレビを見ていると、世界貿易センターに飛行機が突入というニュース速報が流れました。「小型機か何かが突入したのかな?」と思ってチャンネルを回してみると、ビルから炎と黒煙が上がっていました。中継の最中、別の棟に飛行機が突入するのがリアルタイムで伝えられました。まさかとも思いながら、突入の画面から真っ先に浮かんだのは、「戦争」という言葉でした。ニュース速報では単なる事故と思っていましたが、国防総省への突入、旅客機の墜落、ビルの崩落、犠牲者の数など、悲劇の全貌が次第に明らかになっていき、あまりの事件の大きさにがく然としてしまいました。「戦争」という言葉が当てはまるような、惨劇の様相を呈するようになりました。最終的には、旅客機がハイジャックされ乗員もろとも突入したことから、米国政府はテロ事件と断定しました。日常では起こりえない情況下で犠牲者の方々が、どんな思いだったかと、他国での出来事ながらテロに対する怒りが込み上げて来ました。直接的な被害の甚大さは言うまでもありませんが、二次的な米国の経済への影響のみならず、全世界的な影響にも計り知れないものがあります。最終的に犠牲者は、6000人にも達すると思われています。
 このようなテロに対しては、どう考えたらいいのでしょうか。米国はこのテロ事件を戦争と解釈し、直ちに報復を表明しています。そして報復の対象は、テロ集団だけでなくテロを支援する国にも及ぶことを明らかにしています。テロはテロリズムの略で、意味を調べてみると次のようになります。「一定の政治目的を実現するために暗殺・暴行などの手段を行使することを認める主義、およびそれに基づく暴力の行 使。テロ。」(大辞林)。現代は法と秩序を根底として成り立っているわけですから、このようなテロが許されるものではありません。テロの根絶のためには、国際的な協力が必要なことは言うまでもありません。
 テロには、理由が明確でないものもあれば、政治や宗教の主義主張が関係しているものもあります。今回のテロには、確かに米国の中東政策(詳しくは触れませんが)にも責任があるかもしれません。また世界で最も強い国家である米国のおごりもあったかもしれません。しかし、どんな理由があったとしても、一般の国民に対して無差別に攻撃するテロは、許されるものではありません。またアフガニスタンの情況が伝えられるたび、タリバンの子どもや女性達への人権を無視した暴挙には、怒りを感じざるを得ません。
 放映されるたびに、テロ犠牲者の家族の悲しさや悔しい気持ちやが伝わってきます。テロに対する報復には、様々な意見があるでしょう。武力攻撃が最良の方法ではないことは誰でも知っているし、亡くなった方々が帰ってくる訳ではありません。しかし家族の怒りや悲しみは、どこに向けたらいいのでしょうか。たとえ首謀者を捕えたとしても、テロ集団が残っている限り、またテロ行為が繰り返される恐れがあります。テロ集団を支援する国があれば、テロ集団が再び結成される可能性もあるはずです。大事なことは、地球を一つの星と考えることでしょう。この我々の住む地球のためにも、テロの無い世界を作る。そのためには国際的な同意が得られれば、壊滅することを目的に行動することも止むを得ないことだと思います。
 日本の自衛隊の問題も取り上げられています。憲法上の解釈もあり、様々な意見も出ています。戦争を放棄することは大事なことですが、自国を守るためには使えるが、我々の住む地球のためには使えない。何か、勝手さを感じるのは小生だけでしょうか。テロ行為はもちろん、戦争や報復を肯定するつもりは毛頭ありません。しかし、世界にとっても日本にとっても、大きな決断が必要な時期なのでしょう。あくまで個人的な考えです。字数も限られているので、誤解が生じるかもしれません。この考えを他人に強制するつもりもないし、正しいと思っているわけでもありません。いい機会ですから皆さんも、地球という星、世界の平和、テロということについて、考えてみて下さい。
最後に、このテロ事件で犠牲になられた方々の御冥福を、心よりお祈りいたします。
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