かわむら こども クリニック NEWS  平成22年 5月号


こども手当てをワクチンに!

 6月から子ども手当てが支給されますが、さて皆さんはどんな使い道を考えているのでしょうか。
 内閣府が行った「インターネットによる子育て費用に関する調査」が、4月29日に発表されました。子ども手当ての使い道に関して様々な意見があり、「子どものために使われないのでは」という疑問の声も多く上がっています。調査では、“子どもための貯蓄”が43.4%で最も多く、次いで多かったのが“生活費に補てん”11.4%でした。続いて“保育費”10.8%、“習い事などの費用”9.8%、“学校教育費”8.7%、“学校外教育費”8.6%の順となっていました。“子どもと限定しない貯蓄”4.8%、“家族の遊興費”1.8%と、手当の趣旨以外の使い道を挙げる回答もありました。
 子ども手当ての目的は、厚労省の「子ども手当てについて一問一答」では、次のように説明されています。「子ども手当は、次代を担う子どもの育ちを社会全体で応援するという観点から実施するものです。子ども手当の創設の背景としては、少子化が進展する中で、安心して子育てをできる環境を整備することが喫緊の課題となっていることがあります。特に、子育て世帯からは、子育てや教育にお金がかかるので、経済面での支援を求める声が強いという状況にあります。こうした状況も踏まえ、子ども手当については、子育てを未来への投資として、次代を担う子どもの健やかな育ちを個人の問題とするのではなく、社会全体で応援するという観点から実施するものであり、子どもを安心して生み育てることができる社会の構築に向けた大きな第一歩であると考えています」。趣旨にそぐわない使い道を防ぐ事ができるかどうか疑問ですが、素晴らしい取組みです。
 使い道を考える前に、どうしたらもらえるのかご存知ですか。子ども手当の支給を受けるためには市区町村への申請が必要ですが、児童手当の既受給者では、原則として申請が免除されます。但し、新たに子ども手当の対象となる中学生2年生と中学3年生がいる場合には申請が必要です。児童手当既受給者がいる場合には、手続き無しでも市区町村から認定通知が送られてきます。新たな申請者では受給資格に該当していることを確認のうえ、同様に認定通知が送られてきます。手続きの不明な部分については、市区町村にお問い合わせ下さい。
 また子ども手当で、本当に受給額が増えるのでしょうか。家族状況にもよりますが、子ども手当て分がそのまま収入増になることはありません。少なくても児童手当が廃止されるので、半額支給では思ったほど増えないというのが大方の意見です。
 ところで、当院では「すべてのこどもたちにすべてのワクチンを」という合言葉で、様々な情報の発信を通してワクチン接種の推進に取り組んでいます。また、4月から仙台小児科医会の会長を拝命し、小児科医全体としても助成、定期接種化に取り組む予定です。全国の小児科医の活動でワクチン接種への助成の動きは広がりを見せていますが、残念ながら仙台市では助成が行われていません。予防接種が義務から勧奨接種に変わって久しいのですが、ワクチンは個人を病気から守る目的だけでなく、社会にも大きな貢献を示すことが確認されています。ワクチンの対象となる病気は重症化することが多く、病気を予防することは医療費の削減につながり、障害が少なくなれば本人だけでなく家族や社会の負担を減らすことに結びつきます。また命を失うことは、家族にとっても社会にとっても、重大な問題となります。ワクチンで病気を予防できることは、とても素晴らしいだけでなく、とても重要なことなのです。
 さて、4月下旬からHPで「子ども手当てとワクチン」のアンケートを行っています。 “子ども手当て”に対して、どのような意識を持っているかだけでなく、ワクチンの重要性を理解してもらい、「子ども手当てをワクチンに」という選択肢があることを理解していただくことが目的です。内閣府の調査とは項目が違うので一概に比較はできませんが、100名の回答では“貯蓄”は34.7%で、“子どものため”が56.1%となっていました。子どもためと答えたなかでは、“教育”が43.9%、“習い事”が24.3%、“医療に使う”と答えたのは23.5%でした。全員に対する設問で“ワクチンに使う可能性”では、可能性が高い人は28.6%で、ワクチンに対する意識が高いことが窺われました。 子ども手当てには様々な問題があることも事実です。財源が無いので、子どもたちが将来負担しなければなりません。使い道は様々あり、家庭によって考え方が異なるのも仕方ありません。しかし、子ども手当ての趣旨をよく理解して、子どもために使うことをしっかり考えてください。そして、当院での「子ども手当てをワクチンに」のスローガンを記憶に留め、ワクチン接種を使い道のひとつとして考えてみませんか。

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