かわむら こども クリニック NEWS  平成19年 8月号


子どもと夏と皮膚の病気

 今年の夏は、どうも猛暑になりそうです。夏の暑さは楽しみである反面、子どもにとって大敵です。先月号の熱中症に続き、今月は夏に問題となる子どもの皮膚病について考えてみましょう。
 暑さで一番目に付くようになるのが、「あせも」(汗疹)です。「あせも」と汗によるかぶれを混同しているお母さんは、以外と多いものです。「あせも」は乳幼児と老人に多くみられる、暑さが関係する皮膚病です。原因は汗をかくことによってかぶれるのではなく、汗を外に出す管(汗管)が詰ることによって皮膚の中に汗が溜まることが原因です。赤ちゃんと老人に多くみられることから、汗せんの機能も関係しているとも考えられています。汗を多くかく環境、特に高温と多湿が関係し、特殊な状況では高熱や高温環境下での作業がきっかけとなることもあります。皮膚の表層に汗が溜まるものが水晶様汗疹と呼ばれ、1〜3mmの水疱が汗をかきやすい部分(頭、顔、胸、背中など)に多発しますが、この状態では症状はありません。皮膚の中層に汗が溜まるものが紅色汗疹と呼ばれ、赤い色となり軽い痛みや痒みを伴う様になります。もっと深いところに汗が溜まったものは、深在性汗疹と呼ばれています。水晶様汗疹も溜まった汗の刺激や汚れなどによって、次第に赤みや痒みが増してくることがあります。原因の説明でもわかるように、大量の汗をかくことと汗管の詰りが原因ですから、「原因療法はなく予防が大切です。「あせも」にあまり神経質になり過ぎるお母さんに、時々「そんなに心配なら那須か軽井沢に行って避暑地で過しなさい」と意地悪を言うことがあります。皮膚の中に溜まった汗を消す方法が無い以上、予防することが重要で、基本は高温の環境を避けることです。クーラーなどを上手に使い、暑い時間帯は外にでないこと、汗をかいたら早めにふき取ること、熱い日はシャワーや水浴びをして身体の火照りをとることも効果的です。暑い時期には「あせも」は当たり前と考え、本人が困っていなければ治療の必要は無いと割り切ることが必要かもしれません。あせもが悪化して痒みが強くなり掻き傷が出るようであればステロイド軟膏やローションによる治療が必要になります。
 「とびひ」も夏に多くみられる心配な皮膚病のひとつで、医学的には伝染性膿痂疹と呼ばれています。「あせも」、虫刺されや湿疹を掻きすぎたり、怪我した場所に、皮膚の常在菌であるブドウ球菌や連鎖球菌が感染することが原因です。高温多湿は細菌の成育に好都合なので、夏に多くみられることになります。病変部位を掻くことによって、まるで火事の飛び火のように次々と広がることから、「とびひ」と呼ばれるようになりました。水疱から始まる「とびひ」は水疱性膿痂疹と呼ばれています。水疱は次第に大きくなるとともに、あちこちに広がっていきます。数は少ないのですが、厚いかさぶたができる痂皮性膿痂疹は溶連菌が原因になります。局所療法も行われますが、子どもでは治る前に掻き広げるため抗生物質の服用が基本です。もちろん溶連菌が原因の場合は抗生物質による合併症予防のために長期の治療が必要となります。他人への感染や悪化させることがあるので、プールなどは避けるようにしましょう。入浴や石鹸で洗うことは清潔を保つために、むしろ必要と考えられています。
 虫刺されも夏に多くみられます。虫の毒が身体に入り、免疫の反応により赤く腫れたり痒みが出てきます。腫れの程度は、虫の毒の種類や体質(免疫反応の強さ)が関係しています。強く腫れることを心配しますが、強い免疫を持っていると気楽に考えるしかありません。虫刺されで受診することがありますが、毒を消す方法が無いので病院だからといって特別な治療法はありません。治療の基本は痒みに対して抗ヒスタミン剤の軟膏を使用しますが、基本的には市販の軟膏と同じです。虫刺されは、「とびひ」の原因にもなるため、早めに痒み止めの軟膏やパッチを使うことが必要です。また強く腫れる体質のお子さんは、草むらに出掛けないことや虫よけスプレーも考慮したいものです。
 ストロフルスという言葉を聞いたことがありますか。子どもに特有は虫刺されが原因で起こる皮膚の過敏な反応と考えられ、乳幼児に多くみられ小学校に入る頃にはみられなくなります。虫に刺された後が赤くふくらみ、水疱に変わり、やがて硬いしこりになります。後期にわたって持続し、強いかゆみが特徴です。アレルギーを持っている子どもに多くみられると言われています。痒みが強いために、ステロイド軟膏による治療が必要です。
 夏には特有な皮膚の病気があります。病気を理解することとともに、環境に気を遣いながら予防することを考えましょう。

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