かわむら こども クリニック NEWS  平成14年10月号


救急蘇生2002

 先日、お母さんクラブで「あなたは大丈夫?! 救急蘇生4」を、開催しました。例年と同様、消防署のご協力をいただき、講師は患者さんのお父さんの鎌田さんにお願いしました。救急蘇生については、NEWS(74号)にも掲載しましたが、今回は具体的な内容を伝えたいと思います。
  救急車を要請すると、どのぐらいで到着するかご存知ですか。平均で6分程度です。もちろん、様々な条件が加わるので到着までの時間は様々です。さて、心臓や呼吸が止ってから、死亡するまでの時間はどのくらいなのでしょう。心臓は止って3分、呼吸は止って10分で、約50%の死亡率です。心停止では救急車が到着する前に、ほとんどの人が死亡してしまいます。心肺停止状態は脳に酸素の供給が出来なくなり、助かっても脳に障害が起こります。この程度も、時間に比例するのです。
 救急蘇生を実行できれば、命を助けることが出来るだけでなく、後遺症を減らすことが出来るのです。大人と多少違うところがありますが、講習で得た年少児(8歳未満)の蘇生について、箇条書きで説明します。
1.意識の確認
 まず、意識が必要です。刺激しても反応がない、動かないなどが基準になります。意識がない場合、大声で助けを呼びましょう。助けが見つかれば、119番通 報してもらってください。自分は、心肺蘇生を始めます。運悪く誰もいない場合は、年少児ではまず1分間の心肺蘇生を行ないます。
2.気道確保
  子どもでは大人と違い、呼吸停止が原因で心臓が止まることが多いので、気道確保はとても大事です。意識障害や呼吸、心停止になると舌が喉の奥の方に落ち込み、息の通 り道(気道)を塞ぎます。救急蘇生に先立ち、気道を確保することが大なことなのです。方法は、頭を後ろに反らし、あごの先を持ち上げて下さい。
3.呼吸の確認
 次は、呼吸の確認です。胸の動きを見たり、鼻や口に耳を近づけて聞いて下さい。呼吸がないことを確認して、蘇生が始まるのです。明らかに口の中に異物があるときは、取り除く必要があります。小量 の場合や確認ができないときは、少しでも時間ロスしないように人工呼吸を始めても構いません。また循環を確認することも必要ですが、難しいので省略して先に進んでも構いません。
4.人工呼吸
 気道を確保をしても呼吸がないときは、口や鼻から息を吹き込みます。大きい子どもの場合は鼻をつまんで、口から吹き込んで下さい。小さい子どもの場合は、鼻と口から息を吹き込みます(自分の口で鼻と口を覆って)。一回1〜1.5秒で息を吹き込み、2回繰り返してください。胸の上がりを見ながら吹き込むことが大切です。吹き込む強さは、あまり考えなくても構いません。胸が上がるくらいの強さでいいでしょう。吹き込んでも、反応がなければ、次に進みます。
5.心臓マッサージ
  年少児ではは片手の掌で、胸の中央のみぞおちより上を圧迫します。年少児では、胸の中央骨の下端のやや上を指二本で圧迫します。まずは5回行い、早さは一秒間に2回程度で、強さは胸の厚さの3分の1程度沈む程度です。
6.救急蘇生の継続
  人工呼吸1回と心臓マッサージ5回を交互に繰り返します。誰もいない場合は、1分間繰り返した後に救急車を要請します。情況が変わらない場合は、救急車が来るまで心肺蘇生を続けてください。
  もちろん、これを読んだからと言って救急蘇生が出来るものではありません。お母さんクラブの救急蘇生では、赤ちゃんの人形を使った蘇生の体験もしました。それでも十分とは言えませんが、体験はきっと役に立つことと思います。万が一のことがあった場合は、何もしないよりは何かする。そのためにこの記事が少しでも役立てばと思います。 消防署では普通救命講習(3時間)と呼ばれる蘇生法の講習行われ、受講者には修了証(認定)が発行されます。いつかはと思わず、機会があれば積極的に参加してみて下さい。身内の万が一の時の対応の救急蘇生、皆が身に付けることが出来るようになりたいものです。
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