かわむら こども クリニック NEWS  平成23年2月号


学術奨励賞を受賞して

 この度、栄誉ある仙台市医師会学術奨励賞を受賞いたしましたので、喜びとともに皆さんに報告します。
1978年杏林大学卒業後、国立仙台病院研修から国立小児病院新生児科を皮切りに新生児医療の道を歩みはじめました。仙台赤十字病院新生児集中治療室から、日立製作所日立総合病院新生児集中治療室開設のため赴任しました。1992年新生児医療への貢献により日立市長からの感謝状を頂き、1993年かわむらこどもクリニックを開業し、今月で18年目となりました。
 新生児医療を通して、先進的な医療と同等に母親の精神的なケアの重要性を学んだことから、「お母さんの不安・心配の解消」を開業理念に掲げました。理念を実践するために、院内報「かわむらこどもクリニックNEWS」(211号)をはじめ、「かわむらこどもクリニック HOMEPAGE」、医療相談(5700件)、育児サークル『お母さんクラブ』(104回)など、様々な子育て活動を展開しています。皆さんもご承知のように、HPのアクセス数は86万件を超え小児科サイトの老舗と称され、高く評価されています。2004年には、紙メディアとインターネットの有機的な繋がりのなかで行われている子育て支援活動が注目を浴び、NPO法人日本HIS研究センターの第1回病院広報企画賞を受賞しました。開業医にもかかわらず大病院を排して受賞したことは、当院の活動が高く評価されたものでした。その後、理念を実現するための活動は、育児情報誌執筆、医学生実習受け入れ、小学4年生の性教育と進化し、最近ではTwitter、MailNewsなどと形を変えながら展開しています。ITと融合した情報提供とコミュニケーションの取り組みは、講演会やメディアでしばしば取り上げられ、今月日本医師会医療情報システム協議会「ITは人間の心と身体を守るために如何に活用されているか?」のシンポジウムも担当します。
 2009年新型インフルエンザパンデミックに際して、仙台小児科懇話会の代表世話人として、10月から6ヶ月間「小児科診療所医療従事者コホートにおける新型インフルエンザ感染に関する研究」を行いました。
 2010年4月から仙台小児科医会会長に就任し、初年度の取組みを髄膜炎関連ワクチンの接種費用助成獲得として、署名運動、市長への要望書提出、市民公開講座開催、多くの親御さん達に協力してもらいました。その甲斐あって、政令指定都市では、仙台市が最も早くワクチン接種費用の助成が始まり、皆さんの役に立てたことはうれしい限りです。
 開業理念「お母さんの不安・心配の解消」に基づく子育て支援活動に加え、小児科医会会長としてワクチン助成獲得への取組み、新型インフルエンザの研究が高く評価され、次のような理由で仙台市医師会学術奨励賞を受賞することができました。「新型インフルエンザパンデミックに際し、小児科診療所医療従事者の新型インフルエンザの発症並びに不顕性感染の調査研究を約6ヶ月行い、医療従事者の新型インフルエンザ感染率を調べ、一般市民と比べて医療従事者の感染率が高かったことを明らかにされました。このような医療従事者を対象とした長期間にわたる研究は無く、現状の蔓延防止対策に警鐘を鳴らすだけでなく今後のインフルエンザ感染対策に参考になると高く評価されております。さらに、日常診療多忙の中、仙台小児科医会の会長として会の先頭に立ち、予防接種普及の署名活動を行うなど市民のための活動にも情熱を注いでおられます。また、保育所嘱託医・保育士研修会の講師などを務められ、会員のみならず医療・保育従事者の生涯教育に貢献されました。:原文のまま」
 最後になりますが、このような活動を通して受賞できたことは、かかりつけ患者さんをはじめ、スタッフ、そして家族の協力無しには、成し得なかったことと思っています。開業時に「お母さんの不安・心配の解消」の理念を掲げて苦節17年、今後も「継続は力なり」という座右の銘のもと子育て支援に精進しなさいという神の啓示と受け止めています。
 最後にクリニックの支えは、かかりつけ患者さんです。びっくりするほど遠くから通院してくれたり、長い待ち時間を我慢してもらい、『お母さんクラブ』に参加し、お褒めやお祝いのメールを頂いたり、学生実習で嫌な顔せず協力してくれたり、いろいろな形でお世話になってきました。大声で笑ったり、時には涙し、そして言い争いも。これらひとつひとつが、院長はじめスタッフの大きな支えとモチベーションなっています。この場を借りて、感謝を伝えたいと思います。本当にありがとうございました。これからも、かわむらこどもクリニックをよろしくお願いいたします。

奥山仙台市長・永井仙台市医師会長・市立病院村田先生

(宮城県小児科医会会報の原稿を患者さん向けに書き直しました)


クリニック NEWS コーナーに戻る