かわむら こども クリニック NEWS  平成24年10月号


性教育親子PTA行事

 以前に「小松島小PTA行事で性教育を」(2009年10月号)を紹介しましたが、5回目を迎えたので、一つの区切りとして紹介します。

 今年は9月13日(木)の午後(5〜6校時)、小松島小学校の体育館で、4学年の児童と保護者の参加(教職員ふくめて103名)で開催しました。

 開催の経緯は、2007年に小学4年生の「新・みんなのほけん3・4年」(学習研究社)、“育ちゆく体とわたし”に準拠した授業を担任とのTeamTeachingを担当したことから始まりました。校内研究授業で、教職員、PTA役員の見学により内容が評価され、すべてのクラスでの授業を依頼されました。時間が取れないことを理由に断わりましたが、PTA役員の強い熱意に押し切られ、2008年から親子PTA行事として開催を続けています。

 性教育へのアプローチとして、子どもたちと保護者に『命の大切さ』を伝えることを目的にしています。前半は「赤ちゃんはどこから来るの」で、基本的には性教育の取っ掛かりの話ですが、子どもたちにわかりやすいように、簡単なことから始めます。前半は親子そろっての講話ですが、後半は保護者を対象とした事前に寄せられた質問等を中心とした懇談会です。

 まずは、“みんなはどうやって生まれてきたの”クイズからスタートです。ご想像のように、“コウノトリが運んできた、卵から生まれた、お母さんから生まれた”の選択問題です。当然のことながら、4年生では誰も間違うはずはありません。お母さんのお腹の中にいる期間、生まれた時の体重、母親のお腹の中で大切に守られていることを知って欲しいと思っています。

 続いては、院長が専門としていた新生児医療の話です。新生児集中治療室(NICU)に収容された576gの赤ちゃんの成長する姿を見てもらいます。親に心配され、多くの人に支えられて、育ってきたことを知ってもらうためです。そして、ひとりで大きくなってきたんじゃないことを理解し、みんなに支えられている命を大切にしなければならないことを伝えます。“命を大切にするというのは、命のことをしっかり考える”ということで、一区切りつけます。

 次には、オスとメスがいなければ、命は生まれないこと。ずっと昔から命が、つながっていることを知ってもらいます。そして命をつなげていくための準備が、そろそろ始ることを示し、ここから性教育に少しずつ入っていくのです。本題に入る前に、実習に来ている医学部の学生さんが赤ちゃんを抱っこしている姿を見せ、赤ちゃんの素晴らしさを伝えます。赤ちゃんは、ひとに、やさしさと笑顔と希望、そして勇気を与えてくれることを。そして、赤ちゃんの成長とともに、周りの人たちも成長していくということも伝えます。

 これからが本題で、いわゆる性教育で4年生の教科書に沿ったものです。命をつなげていくための準備に関して、腋毛や陰毛が生えてくること以外に、男の子(声変り、がっしりとした体つき)と女の子(胸の膨らみ、丸みのある体つき)の体の変化だけではなく、異性に関心がでる、異性が気になるなどの心の変化について説明します。その後に外からは見えない、体の中の変化に伴う精通や初経の話をします。このような大人になるための準備は、脳からの指令でおこることを説明し、指令が始る時期に個人差があることを理解してもらいます。ひとは皆違うこと、違いを深く考えることの必要は無く、自分らしさを大切にすることも伝えます。

 そして最後のまとめの言葉が、“もう一度命の大切さを考えてみよう”で締めくくります。

 最後に参加したお母さんからのメールを紹介します。

 「いつもお世話になっています。〇〇〇〇の母です。今日は、命のつながりの話をありがとうございました。今までも、本人に出生時の事を話していました。早く生まれて小さかったこと、保育器に入っていたこと、皆に助けられて大きくなったこと。そして、何よりも〇〇が生きようと一番頑張ったこと。ただ、出生体重だけは本当のことが言えずにいました。ショックを受けるんじゃないかと思って…。でも、今日のお話を聞いてちゃんと話そうと思いました。〇〇の力を信じて、これからの成長を見守りたいと思います。そして、今日のお話を親子でしたいと思います。今日は本当にありがとうございました。」

 この活動は性教育といいながら、「命の大切さ」がメインテーマです。「命の大切さ」を伝えることは、自分自身だけでなく、他人のことも考えることにもつながります。親子揃って聞いてもらうことは、話しにくい性教育の話題が食卓に上り、親と子のかかわり合いの大切さを考えるきっかけになればと思います。このような小学生に対する活動が広がり、虐待やいじめ防止につながることを願って止みません。

体育館に集まった子どもたちとお母さん スライドのトップページ
こんな感じで始まりです 二部は保護だけを残しての講話と質疑

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