かわむら こども クリニック NEWS 平成14年 6月号
予約診療
皆さん予約診療、どう思われますか。実は先日、ある患者さんから次のような投書(メール)頂きました。「そちらでお世話になっております、2歳の男の子の母です。先生に診てもらい、息子も元気になり、あぁ、先生のところに行って良かったなぁと思っていました。今日、先生に診て頂いたら、終わりかなぁ、なんて思って、病院に行くと、さすがに混雑しています。あぁ、治りがけにカゼなんかもらわなければいいけど…と思うと、やっぱり。次の日には、熱が。先生の病院は、先生がとっても上手に治してくださるし、私達、親にもきちんとわかりやすく説明してくださるし、「こんな病院を探していたのよ!」っていう感じなのですが、そんな素晴らしい病院は、やっぱり混んでいるんですよね。待ち時間も長いし、病気の子供には、この待ち時間がキツイ。さらに、治りがけに、病気をもらってきちゃう確率も高い。どうにかならないでしょうか。電話による予約だとか、できないでしょうか。車で行けば、車の中で待ってることもできるのでしょうが、車の運転できないし…。考えていただけますか?」。
メールで返事を差し上げました。「返事遅くなりました。混雑は、いつも問題になっています。しかし今日は暇で、日中にメールを書く余裕もあります。小児科は、季節や曜日、休日などによって混雑の度合いが変わってきます。予約制の話も、開業して以来何度も出ました。しかしいろいろな考えがあり、導入しないでいます。当院のよいところは、十分説明をしてお母さん方が安心できるところだと思っています(自分で言うのも変ですが)。そのために2分で済む患者さんもいれば、30分かかることもあるのです。予約制にした場合はどうでしょう。一人当りの時間を決めて予約を入れることになります。その場合一人当り2〜3分の計算です。まして小生は話し好きですから、長くなってしまう患者さんがいます。予約制になって待ち時間が長くなると、今以上に苦情が出ます。また我々も時間に追われ、何とか患者さんを短く診察しよう、と思うことになります。これでは、当院の良さが無くなってしまうかもしれません。以前あるお母さんに言われました。「予約制で2時間家で待っているより、クリニックで同じ時間待つほうが安心できる」と。お母さん達の多くは、たくさん先生に話を聞いてもらいたい、十分説明して心配を解消したいと思っているのです。今の仙台市内の小児科、混雑しているところは混雑して、空いているところは空いているというパターンです。当院が良い病院かどうかは、こちらで判断するものではありませんが、そう思っているお母さんが多いことも確かです。毎回混雑するわけではないので、どちらか選択するしかないと思います。今回はゴールデンウイークということもあり、余計に混雑したのかもしれません。この程度の回答しか出来なくて、申し訳ありません。こんなに長く回答するのも、当院の理念からです。こんな病院は、他にはないかもしれません。」。
少し追加します。仙台市内で完全に予約制をとっている小児科は、5件もありません。予約制に関する評価も人それぞれで、待ち時間が少ないからよいという評価もあれば、いつでも受診出来ないのが困るという評価もあります。良い悪いは、人によって判断が異なるのです。患者さんの多くは、自分の話を聞いてもらうことや十分な説明をしてもらうことを望んでいますが、自分が待つことには不満を持ってしまうのです。
不安や心配の強い人には、長い診療時間が必要です。当院の理念は「お母さんの不安・心配の解消」です。そのためには、どうしても時間をかけなければならないこともあるのです。以前クリニックNEWSで「二兎を追う者は」を書きました。待ち時間を短くすることや他の病気の感染を防ぐことも大事ですが、不安や心配を取ることがもっと重要と思っています。二兎を追わないことと、理念を追い続けるためにも、あえて予約診療にはしていないことをご理解下さい。せっかくの機会ですから、皆さんの忌憚ないご意見を待っています。
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