かわむら こども クリニック NEWS  平成23年1月号


ウサギのような人生?

 ウサギのイメージは、ぴょんぴょん跳ねる、目が赤い、真っ白。還暦を迎える歳に当たり振り返ってみると、まさに自分の人生そのもの。白衣を着て、目を真っ赤にしてPCに向い、ぴょんぴょん跳ね回っている。もちろん真っ白な毛を除けば。でもこれも、近いうちにやって来るかもしれない。
 日立総合病院NICU開設にかかわりHard Workに身を置き、体力の限界を感じて17年前に開業。NICUに後ろ髪を引かれるなか、新生児医療を通して得ることができた「お母さんの不安・心配の解消」を理念に掲げた。理念の源は“母親の悲しみの涙と喜びの涙” から学んだ賜物。生来の負けず嫌いから、“理念を掲げているくせに”と後ろ指をさされることを嫌い、理念に花を咲かせ実を結ばせるための子育て支援活動に邁進。院内報「かわむらこどもクリニックNEWS」(209号)の発行から始まり、恐らく開業小児科では日本初のホームページ「かわむらこどもクリニックHOMEPAGE」(86万アクセス)の開設。理念を全国展開するためのインターネット医療相談(6500件)。目立ちたがりやの新し物好きで、次から次へと新しい取組みに挑戦。育児サークル『お母さんクラブ』(109回)、患者さん専用のメール相談窓口、等々。「お母さんの不安・心配の解消」の基本は、コミュニケーション。お母さんを患者さんに変えれば、医療の普遍的な理念。この理念とコミュニケーションの重要性を次世代に伝えるための医学生と研修医実習の受け入れ。あちこちで子育て支援のための原稿書き、小学校4年生PTA行事で性教育(命の大切さの講話)、新型インフルエンザの臨床研究。果てはMail NewsからTwitterまで。
 活動が続けられる理由は何かと尋ねられたら?。まずは自己満足と答える。でも自己満足だけでは続かない。もちろん自己顕示欲でも無い。やはり継続のためのモチベーションは、結局は他人の評価かも。医師にとっての最も大きなモチベーションは、患者さんの“ありがとう”の言葉。それだけでも十分なのに、煽てられ乗りやすい自分は、他人の評価も大きな源になっている。日立病院退職時の市長からの感謝状、2004年大病院と争ったNPO HIS研究センターの第1回広報企画賞は、自己満足を超える他人の評価。そんな評価と座右の銘「継続は力なり」を支えに、ウサギのように飛び跳ね続けてきた人生。
 昨年4月からは仙台小児科医会の会長職を拝命。重点項目として、「髄膜炎関連ワクチンの助成」を取り上げた。医師のみの活動では盛り上がりに欠けるため、市民を巻き込んでの活動を計画。8月からの署名運動、9月にはマスコミを動員しての雨中での街頭署名。多くの小児科医、スタッフ、患者さんに、着ぐるみまで参加。10月には1万筆を超える署名を携え、奥山市長に髄膜炎関連ワクチン助成のための要望書提出。11月には仙台市医師会の後援を頂いた「髄膜炎から子どもを守るための市民公開講座」開催。ますます、ぴょんぴょん跳ねた1年。いやいや、休む暇なく飛び跳ね続けなければならない1年だった。
 還暦を迎える年に当たり、そろそろ立ち止まって、落ち着いて考える時なのかも。はてさて、飛び跳ねなくてもすむ兎歳になるのやら。

(仙台市医師会報同掲)


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