かわむら こども クリニック NEWS  平成14年1月号


新しい年に向けて-2002

毎年恒例ですが、新しい年に向けてと題して昨年を振り返ってみます。昨年の新年号には「新しい世紀の幕開け」と題して、大きく期待を込めて書きました。その期待と裏腹に、昨年は暗い話題が目立ちました。
 3月の骨折では、激痛で油汗が出て血の気が引く思い、今でも忘れられません。若気の至りというか、年寄りの冷や水というか。患者さんだけでなく、多くの人々に迷惑をかけ、本当に反省させられました。転んでもただでは起きない性格なのか、手術後の激痛を我慢した体験から「よい患者さんとは」という題で、患者さんの気持ちを書いてみました。お見舞いや励ましのメールを数多く頂き、多くの患者さんに支えられていることを再認識しました。本当に、幸せ者です。ありがとうございました。また松葉杖で歩くことの不自由さは、想像以上のものでした。バリアフリーという言葉があちこちで聞かれる割には、如何にバリアフリーでないということを身をもって体験しました。体の不自由な人に対するバリアフリーの必要性を、今まで以上に訴えていきたいと思います。
 5月には日本小児科学会のシンポジウム「21世紀の情報化と小児科」で、パネリストとして発表の機会を得ました。開業医としては、大変光栄なことです。思い起こせば今から6年前、何の見通 しもなくホームページを開設しました。インターネットの普及と親御さん達後押しとメディアでの評価に伴い、アクセス数は増加し続け、12月20日には30万件を突破し、日本一(?)とまで称されるようにまでなりました。またコミュニケーション目的の育児サークル「お母さんクラブ」や患者専用メールなど、多岐にわたる育児支援も評価されパネリストに指名された次第です。小児科におけるインターネットと育児支援をライフワークとして、これからも様々な試みをしていきたいと思います。患者専用メールは想像していた以上で、驚きを隠せません。従来の投書箱では、せいぜい年間でも50通 程度でした。しかし一昨年10月に開始して以来、1年間で263通ものメールを頂きました。全員に返事を送ることを心がけ、患者さんとのコミュニケーションには非常に役立っています。PCや携帯端末の普及により、今後益々必要とされるに違いありません。
 9月の米国多発テロ事件の生々しい映像は、今も時々よみがえります。世界貿易センタービルの崩壊のすさまじさ、膨大な犠牲者の数。心を痛めたのは、皆さん同じだと思います。しかし、次第に明らかになっていくアフガニスタンの子どもたちや女性達の姿。どちらが被害者かという思いが、頭をよぎりました。米国の傲慢な政策、どちらもその犠牲になったのかもしれません。アフガニスタンの国情を見るにつけ、不況など様々な問題を抱えていても我が日本は、まだまだ幸せだと感じました。何か少しでもと思い、アフガニスタンの子どもたちへの義援金を呼びかけました。たくさんの患者さん達の協力をいただき、12月末までに13,793円を集めることができました。クリニックの分を加えて、ユニセフに送りました。御協力、本当にありがとうございました。
 11月には「クリニックNEWS」が、100号を迎えることができました。古いNEWSをもう一度確認しましたが、恥ずかしい思いです。自分でも気付かないうちに、少しづつよいNEWSになってきていたのかもしれません。積み重ねということの大切さを、痛感しました。この積み重ねが、新聞のオーディションに入選出来た理由なのでしょう。
 12月1日、皇太子妃・雅子様が、待望の女の赤ちゃんを御出産なされました。新しいプリンセスのお名前は「敬宮愛子」(としのみや・あいこ)様です。愛子(あやし)という地名もあり我々仙台人には馴染みが深く、愛子駅の入場券購買に行列ができたことは記憶に新しいと思います。お名前には「人を敬い、人を愛する」との願 いが込められています。健やかに御育ちになることを、御祈りしています。昨年は暗い話題が多い中、最後は本当に明るいニュースで締めくくることが出来たと思います。
 いつの間にか、当院も2月20日で、9年になります。毎年“漫然と同じことの繰り返しでは、進歩がありません。”と書いています。さて、今年は何か新しいことが出来るか、性懲りもなく考えているところです。お母さんたちもこどもたちのため、何か一つ新しいことに挑戦してみましょう。新しいことが出来なくても、一つ一つの小さな積み重ねの大切さも大事にしたいことです。子どもたちを取り巻く環境は必ずしも良好ではありません。そして経済面 にも、まだまだ暗雲が立ちこめています。愛子様誕生という明るいニュースをきっかけに、今年は皆さんにとっても自分にとっても、よい年になることを願っています。

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