かわむら こども クリニック NEWS  平成20年 1月号


新しい年に向けて

 毎年恒例ですが、新しい年に向けてと題して昨年を振り返ってみます。
 毎年のように悲惨な事件や事故に遭遇しますが、子どもたちにとっての大きな問題は虐待です。12月に日本子ども虐待防止学会に参加したこともあり、いままで以上に虐待を考えた年になりました。10月にはテレビでお馴染の杏林大学の法医学佐藤教授をお招きして、自分が立ち上げた仙台外来小児科懇話会で講演を頂きました。“子ども虐待だけが問題ではなく、DVも高齢者虐待も、全て根っこは同じ。個人的な対応ではなくて組織としての対応が必要”と言う言葉が印象に残りました。この虐待に関しては、ほんの一部ですがNWES(12月号)でも取上げています。昨年も書きましたが、子殺し、親殺しが堪えません。本来子どもを守る立場の親が子どもを殺し、子どもが敬うべき立場の親を殺す、なんと悲惨な出来事なのでしょう。
 興味の程はわかりませんが、昨年のノーベル平和賞は地球温暖化に警鐘を鳴らす映画「不都合な真実」を製作し温暖化問題に取り組んできたゴア前米副大統領他が受賞しました。地球温暖化は、急速な勢いで進んでいます。11月に東北大学理学研究科の青木教授の講演会「南極からみた地球環境問題」を聞きました。南極この氷から過去の大気中の二酸化炭素(CO2)を測定する研究によると、過去数万年のCO2の増加の変化と、最近100年間の変化が同じであると言うことです。またこの先、CO2の増加は加速され、地球温暖化は益々悪化していくという内容でした。様々な自然災害の原因として温室効果ガスの影響が考えられているだけでなく、海面上昇によりツバルが沈んでしまう恐れがあると言われています。エコについて考えてみましょう。
 もうひとつ大きな話題は、食品偽装です。年明けには洋菓子不二家の消費期限切れ原料使用。その後北海道「ミートホープ」の原材料偽装、代表的土産「白い恋人」の賞味期限改ざん。さらに伊勢名物の「赤福」、秋田の比内地鶏、大阪の「船場吉兆」など各地で賞味期限改ざんや原材料偽装など、「食」の信頼・安全が大きく揺らぎました。食品は必ず体に入るものです。行政による管理・指導は重要ですが、製造者・販売者の意識がより大切なことは言うまでもありません。
 新年早々悪い話ばかりで申し訳ありません。共同通信社による2007年10大ニュースには、明るいニュースはひとつも入ってはいませんでした。小さいニュースではあるのですが、ちょっと淋しい気がします。
 続いて、当院での話題に少し目を向けてみましょう。今年は例年になく、学会等の出張が多い年でした。1、2月には東京で3回の研究会・役員会、4月には熊本で日本外来小児科学会春季カンファレンスと京都で日本小児科学会。勉強とは関係ありませんが、5月の連休はダイビングでパラオ。興奮のあまり2回もエア切れになっちゃいました(ダイビングする人はわかりますよね)。そして役員会で再び熊本へ。7月は実習指導者研修会で大阪へ。8月には日本外来小児科学会でまたまた熊本へ。10、11月には研究会と役員会で東京へ。12月には日本子ども虐待防止学会で津(三重県)へ。出張以外にも様々ことが盛りだくさん。4月にはNHK「生活ほっとモーニング」で、全国放送デビューし10分間にわたり紹介されました。実を言うと初めての全国デビューではありません。1998年に「発掘あるある大事典」で“インターネットが命を救う”というテーマで紹介されたことがありました。その後の番組の不祥事のため紹介を遠慮していました。そして、初めての体験としては10月の校医として4年生の性教育の授業(NEWS10月号)を担当、サーフィンにも挑戦(NEWS11月号)しました。その他、仙台リビングに2回、地元テレビには4〜5回登場しています。先日患者さん(3才ぐらい)から、“先生はどうしてテレビにでているの”と聞かれ、答に困りました(笑)。
 いつの間にか、当院も2月20日で15年になります。毎年“漫然と同じことの繰り返しでは、進歩がありません。”と書いています。去年は新しいことが2つありましたが、また何か出来るか性懲りもなく考えているところです。お母さんたちもこどもたちのため、何か一つ新しいことに挑戦してみましょう。新しいことが出来なくても、一つ一つの小さな積み重ねの大切さも大事にしたいことです。子どもたちを取り巻く環境は必ずしも良好ではありません。今年は皆さんにとっても自分にとっても、ますますよい年になることを願っています。

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