かわむら こども クリニック NEWS  平成17年 8月号


予防接種が変わります

 7月29日に厚労省から予防接種に関する通知が出されました。内容としては進歩があるものの、問題点もあるので紹介します。
 今回の予防接種法の改正は、麻しん対策を強化することと風しんによる先天性風疹症候群の発生を予防することが大きな柱となっています。麻しんの予防接種は従来は12〜90ヶ月での1回接種でした。米国などでは、2回接種が取り入れられています。1回接種では、免疫の持続が充分ではなくワクチン接種者の成人になっての麻しんの罹患が問題となっていました。
 今回の改正では、接種時期が変わりました。

第1期 生後12月から生後24月に至るまでの間にあるもの
第2期 5歳以上7才未満の者であって、小学校就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にあるもの

 要約すると、2回接種になったこと。1回目は12〜24ヶ月。2回目は小学校入学前の4月1日から翌年の3月31日までということになります。また、実施規則の変更により、麻しん及び風しんの定期接種には、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンを用いることになりました。
 この新しい予防接種の施行は、平成18年4月1日からとなっています。ほかには、日本脳炎に係る定期接種のうち有効性が低いと評価される第3期の予防接種が廃止されました。
 今回の改正は一見良いことのようにも感じますが、いくつか問題点もあるので考えてみましょう。今回の2回接種は、平成18年4月1日以降に第1期を接種するお子さんだけが対象になります。つまり、平成18年4月1日以前に単独のワクチンを接種したお子さんは、第2期の対象者とはならないのです。例えば今月1才になるお子さんがいるとします。2回接種を受けるためには、麻しんの予防接種をすぐに行なわず、1才8ヶ月(平成18年4月1日以降)間で待つということになります。しかし、麻しんはかかると重症な病気なので、来年まで待ってとは言えません。従来から、当院のHP、院内報や小児科関連の団体でも「1歳のお誕生日には麻しんのワクチンを」を展開しています。この流れからも、接種を先に延ばしましょうとは簡単には言えません。今回の改正が、ワクチンの接種率の低下の原因になることを心配しています。少しおかしいことですが、第2期の対象となるお子さんで麻しんと風しんのワクチンを接種していない場合は、第2期として接種できることになっています。もう一つの問題は、予防接種の期間が短くなってしまったと言うことです。2回接種により期間が広がったようにも思えますが、実は逆なのです。従来は12〜90ヶ月(7才半)までが可能でした。今回は2才を過ぎてしまった場合、5才までは受けることが出来ないことになってしまいました。もし接種を希望する場合は、任意接種となり費用は自己負担しなければなりません。その他に、麻しんを心配して1才前に予防接種することがありました。この扱いがどうなるかと言うことも、まだはっきりしていません。
 予防接種のメリットを受けられる人と受けられない人がいるのは大きな問題です。我々小児科医も、このような矛盾に関しては、強く改正を求めていきたいと思っています。今回の改正に対しては、いろいろ情報を集めて当院としての対応を示したいと思います。この機会に皆さんも予防接種の重要性を見直し、国の政策の矛盾点についても考えてみましょう。


参考資料:平成17年7月29日 健感発第0729001号 
      予防接種法施行令の一部を改正する政令及び予防接種法施行規則及び予防接種実施規則の一部を改正する省令の施行について(施行通知)
     

問題点の整理:現在麻しんワクチンを接種してしまうと、第2期の接種ができなくなる。平成18年3月に麻疹の単独ワクチンを接種すると4月以降単独ワクチンは自費接種となる。平成18年4月1日以降に2才になれば接種できない。今年4月1日以降に1才になったお子さんの接種が問題になる。(2005.8.1)


参考資料:平成18年8月3日 健感発第0803001号 
      麻しん・風しんに係る定期予防接種等に関する留意事項について

問題点の整理:18年4月1日までに麻しん・風しんの予防接種を受けるよう特に積極的な勧奨を行なうことが通知されました。麻しん・風しんのいずれかのワクチン接種を受けた場合法に基づかない予防接種となるが、費用負担に関しては市町村において法に基づく予防接種と同等になるように配慮して欲しいとの通知がでました。前項の問題点の一部が解決されました。(2005.8.5)


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