かわむら こども クリニック NEWS  平成12年 7月号


決まりを守る!?

 今までも同じようなことを書きました。最近子どもたちの犯罪が問題になっています。決まりを守ることと、こどもの未来について考えてみましょう。
 最近こんな会話がありました。「うちの子どもは、のどを見られるのが嫌なので、見ないでください」と。このお母さんは何を言っているのだろうと、思いました。風邪などの診察でのどを見ることは必要なことで、診察の上の決まりのはずです。しかし決まりよりも、子どもの気持ちを優先しているのです。こういっている親御さんには、おそらくなんの疑問もないのかもしれません。その証拠に、「必要なことだから、我慢させて」と言うと、嫌な顔をして見せるのです。また同じようなことに毎日夜になって熱を出しているのに、幼稚園に行かせているのです。おそらく親御さんは、「子どもが行きたがっているので仕方がないんです。」と答えるかもしれません。皆さんはどう思うのでしょう。
 社会生活の中には、たくさんの決まりがあります。例えば1日三回食事をすること、トイレでお尻を拭くこと、後片付け、時間を守ることも、決まりの一つです。決りということを取り上げたら、きりがないほどです。
 今の親御さんは子どもが泣くことや嫌な顔をすることに、とても抵抗があるようです。いつも子供たちの笑顔を見ていたいと考えているかもしれません。確かに赤ちゃんの笑顔を見ていると、幸せと感じるのも事実です。また赤ちゃんの笑顔にはとても不思議な力があるのです。大人でも子どもでも、善人でも悪人でも、笑っている赤ちゃん顔を見ていると、思わず笑顔になってしまうのです。赤ちゃんの笑顔には、そんな神秘的な力があることも事実です。
 でもいつまでも子どもの笑顔だけ見ているわけには行きません。子どもの笑顔を見続けていくには、子どものわがままをすべて受け入れなければならないのです。すべて受け入れることは不可能なだけでなく、これがどんな問題を引き起こすかは簡単に推測できるでしょう。
 最近17歳症候群(シンドローム〕と呼んでいいものか、ティーンエイジャーの凶悪な犯罪がマスコミをにぎわせています。犯罪に至る原因には、様々な理由があるでしょう。簡単にその原因を論じることは出来ません。しかし年少時の様々な経験が関係してるということは、心理学者を含め多くの研究者達の一致した意見の一つです。
 決まりを守るということは、どういうことなのでしょう。決まりを守るためには、自分を押さえなければなりません。自分の考えていることややりたいことを我慢するということになります。何も親御さんがすべてをコントロールしなさいといっているのではありません。子供たちの自由というものも、認めてあげなければなりません。しかし社会で生活していくための最低の決まりについては、しっかり教えてあげなければなりません。また我慢することを教えたり経験させることは、とても大切なことです。それがしつけなのです。小さいころからの、このような積み重ねが、我が子の未来を作っていくのです。もちろん何事にも限度というものがあります。あまりの我慢は、かえって子供たちの精神的成長を妨げてしまうこともあります。無理やりのしつけということが、虐待という結果を招くという危険もあるかもしれません。このバランスということがとても難しい問題です。
 この記事を読んで、我が子に対する接し方をもう一度考えてください。そして御夫婦やお友達と、子育てやしつけについて、話し合ってみませんか。
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