かわむら こども クリニック NEWS  平成17年 5月号


子どもとインターネット

 今回は、インターネット(以後INET)と子どもについて考えてみましょう。小さなお子さんをお持ちの親御さんが多いと思いますが、将来的に役に立つはずです。
 INETが、ほぼ半数の家庭で接続できるようになり、子どもたちが巻き込まれる事件も、報道されることも珍しくはなくなりました。子どもが巻き込まれる可能性があるものを取上げ、対策を考えてみます。
1.有害サイト
 いわゆる有害サイトと呼ばれるものには、アダルトサイト(ポルノ画像・風俗情報)、暴力的なものや残酷なものを集めたサイト、犯罪や自殺の助長するようなサイト、ドラッグや麻薬に関するサイトなどがあります。 このような偏った情報は、価値観やモラルにも悪影響を及ぼす危険性があります。特に暴力や性に関する情報は、子どもの意識を著しく歪め、健全な心の発達を阻害することも心配されています。
2.出会い系サイト
 出会い系サイトと呼ばれるものには、単に見知らぬ人同士の出会いの場を探すものもありますが、一般には男女の交際のきっかけを提供するもの言います。
 このようなサイトは犯罪との関連が強く、2004年の出会い系サイトにかかわる事件(警視庁)1,582件のうち、被害者は1,289人で、うち18才未満の児童が1,085人(84%)を占めていました。児童買春・児童ポルノ禁止法違反が768件あり、児童に対する犯罪の温床になっています。携帯を使用した犯罪の割合が高く、考えるべきひとつの問題です。
3.誹謗・中傷
 電子掲示板によっては実名をあげ非難や暴露などが可能で、子どもの精神に大きな負担となることもあります。
 2004年佐世保市で小学6年生の女児が、同級生を殺害した事件の背景のひとつに「掲示板に悪口を書かれたから」という理由があると言われています。最近、子どもたちが日記のように利用しているブログ(weblog)も、匿名で書き込みができるため誹謗や中傷などが集まりやすいことが問題視されています。
4.個人情報
 会員登録などの目的で、子どもは簡単に個人情報を提供してしまいます。また、悪意を持って子どもをターゲットとして、個人情報をひきだそうとすることも珍しくはありません。なりすましと称して、大人が子どもを装い接近してくることもあります。
個人情報の悪用以外に、嫌がらせ、ストーカー被害だけでなく、犯罪に巻き込まれる危険性もあります。
5.身体的悪影響
 PCの長時間利用は、視力や体力の低下など、健康に悪影響を及ぼす危険性があります。モニター画面の凝視、画面からの光刺激で、眼精疲労や近視を招くおそれだけでなく、戸外で活動する時間が減少することにより、体力の低下、肥満、姿勢の悪化を招くと心配されています。
6.心理的悪影響
 有害情報の心理的影響だけでなく、ネット上での仮想的な世界に没入し、生活上の支障を引き起こすネット中毒も問題になっています。また、家族や友人とコミュニケーションを持つ時間が減り、孤独感が高まる、抑うつが強まるなどの精神的影響や引きこもりも心配されています。また、テレビなどのメディアと同じように、低年齢では言語など発達に対する影響あると言われています。
 INETは様々なメリットがある反面、子どもたちへの直接的、間接的な危険性も潜んでいます。子どもたちを守るために様々な活動が行われ、INET業界、取り締まり、学校などでも対策への取り組みが行われています。家庭へのパソコン(以後PC)の普及が進むにつれ、PC利用の低年齢化が進んでいます。このような状況では、特に家庭での充分な子どもたちに対する教育が重要です。子どもへのINETの教育の多くは保護者が行い、携帯を買い与えるのも保護者です。今後、ますますますINETは進展していくはずです。INETの問題も普通のしつけと同じように、考えていかなければならないでしょう。保護者の危険性に関する充分な理解、危険性に対する対策や家庭での決まりなど、子どもをINETの危険から守るための努力が必要です。この記事を読んで、一度INETの問題について考えてみましょう。

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