かわむら こども クリニック NEWS  平成10年4月号


診療報酬改訂 ’98

 4月から診療報酬が改訂になりました。窓口の会計が少し変わったので、その内容も含め、考えてみたいと思います。
 ちょっと難しい話になりますが、今回の診療報酬改訂で1.5%が人件費や物価上昇分として引き上げられています。お父さんやお母さん方の給料が毎年、ベースアップしていると同じように、診療報酬も上がっています。しかし原則としては2年に1回で、他の社会とは異なっています。診療報酬が上がると医者の収入が増えると思いがちですが、スタッフの昇給などの人件費等を考えると必ずしもそうではありません。当院では院外処方なのであまり関係ありませんが薬価(薬の値段)が改訂され、実質はトータルで1.3%のマイナスになっているのです。マスコミなどで薬価差益という言葉が問題になって、その差が医師の収入になっていることも事実です。薬剤を薬局にお願いしている場合には関係がありません。薬価差益を是認するつもりはありませんが、それがなければ成り立っていかない病院もあるようです。医療全体で考えるとマイナスになっているわけですが、他の企業などでは考えられないことです。
 実際にはどのくらい変わるのでしょうか。初診料が20点つまり200円、再診料となるとわずか4点つまり40円上がった程度です。ですから実際に負担する金額は、初診の場合に60円程度(3割負担)増えるだけです。全体の金額は年齢によって異なることは、御承知のとおりです。
 話は少し変わりますが、同じ診療を受けているのに病院(医院)によって、窓口で払う金額が異なることを経験したこともあるかもしれません。診療報酬に大きくわけて出来高払いと定額払いがあるのです。以前にも書いたので、理解されているお母さん達も多いかもしれません。出来高払いというのは、例えば初診の時初診料+年齢による加算+処方箋料(薬を出した場合)を足して計算しています。3歳未満の場合、薬を出さないと465点、出すと518点になります。定額払いというのは1日当たりの金額が決まっていて、540点となっているのです。この方法は医療機関毎に届ければ自由に採用できるものなのですが、どちらかしか選べないことになっています。条件によって変わりますが、同じことをしているのに500円前後支払う金額が変わってくることもあります。このどちらを採用するかは、なかなか難しい問題です。相談だけで訪れるお母さん達の負担が少なくなることを考えて、当院では出来高性をとっているのです。
 保険本人の負担が1割から2割になったり、老人の負担額が増えたりと、政府は負担を国民に求めてきています。また今後は、風邪薬やビタミン剤(小児科で出すことはないですが)には、健康保険が利かなくなるようにすることも考えられています。どんな形で実行されるかは不明ですが、子供の場合病院を受診する病気のほとんどは風邪です。今だってお母さん達は不安や心配でいっぱいなのに、風邪薬に保険が利かなくなるとなれば、また余計な負担が増えてしまいます。今子育てしているお母さんだけでなく、これから子供を産み育てるお母さん予備軍にも、安心を与えることは出来ません。
 こんなことが将来行われるという可能性もあることを、覚えておいていてください。国民の医療費の負担を増やす以外に、もっと不要な支出があるはずです。いつか自分たちに跳ね返ってくるのです。たまには政治にも目をむけて、考えてみて下さい。
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