かわむら こども クリニック NEWS  平成8年4月号


診療報酬改訂を考える

 先月号でもお話ししましたが、診療報酬の改訂が行われ、4月1日から窓口料金が変わりました。
 小児科では、小児科外来診療料というのが新設され、3歳までのこどもは病院・医院にかかれば、1日につきいくらと計算されます。つまり診療の内容、治療や検査にかかわらず一定の点数になります。そして厚生省は、原則として小児科外来診療料で算定することを望んでいます。
 今回の改訂で初診料その他が見直され、窓口の会計は従来より若干高くなります。従来の方法(出来高制)小児科外来診療料(包括制)を比較をしてみましょう。別に表に示しますが、初診料は、両者ともほとんど変わりません。しかし再診については、包括制の方がかなり高くなってしまいます。特にお薬をもらわない場合は、2倍異常になってしまいます。
 包括制を導入しようとする意図は何なのでしょうか。小児科は、他の科と較べて点数が低いためという、厚生省のお情の部分もあるという話です。内科の老人医療の包括制の目的は、無駄な検査や投薬を押さえて、国の医療費を少しでも減らそうということです。小児科は、内科と較べ検査や薬は少ないので、あまり効果がないかも知れません。しかし再診料が高くなるというのは、病院に何回も来にくくなるというのも事実です。そうなれば、医療費が削減でき、それも厚生省の意図の一つなのでしょうか。
 先月号では、包括制を導入しようという方向で記事を書きました。その後いろいろの情報を得て検討した結果、今回は導入しないことにしました。その大きな理由は、小児科という特殊性です。他の科であれば、受診をしてお薬ももらわずに帰るということはほとんどありません。しかし小児科では、お母さんたちが心配で連れてきますが、何の異常もなく薬も必要でないことが結構あります。以前から伝えているように、小児科の大きな目的の一つは、お母さんたちの心配、不安の除去です。そんな場合、包括制では料金は高くなってしまいます。戻ってくると知っていても、窓口の料金は影響するものです。小児科は、気軽に来れることが大切なのです。それと同じことかもしれませんが、包括制では、治療内容や薬の種類が変わっても金額は変わりません。重い病気のこどもの分を、軽い病気や相談だけで来るこどもが負担してあげるという考え方もあります。それは間違いだとは思いませんが、商店で品物を1つ買っても、5つ買っても料金は同じということはないはずです。
 少しでもお母さんたちの心配や不安をとってあげられ、気軽に来院することが出来るためには、今のところ包括制を導入しないことが賢明と考えました。。厚生省は包括制を導入する方向であることは、すでに話しました。いつまで今のままで続けられるかはわかりません。それまでは、基本方針として貫くつもりです。仙台市の乳幼児医療助成制度も、いずれ所得制限がなくなるようです。それまでは、今の方向で努力するつもりです。 この考えを理解して、応援よろしくお願い致します。

 この表は、概算なので、2〜3歳によって多少金額が変わります。再診で相談だけで薬をもらわないと、包括制では、2倍以上の支払いとなってしまいます。やっぱりおかしいでしょう?

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