かわむら こども クリニック NEWS  平成8年3月号


診療報酬改訂’96

 診療報酬の改訂が4月に行われるのを御存知ですか。診療報酬という言葉を知らない人もいると思います。これは、厚生省が決める医療費の値段のようなものです。診療報酬(点数)が変われば、窓口料金も変わります。そう言われれば、少しは関心も出るでしょう。
 今回の厚生省の改訂の大きな柱が、小児科の外来診療料の新設(包括制)です。小児科は、他の科と較べて点数が低いため行われたようです。小児科の外来にかかる場合に、3歳までは、一定の点数を与えるというものです。
 現在のところ、当院のような院外処方をしているところでは、初診時及び再診時に、診療の内容、治療や検査にかかわらず一定の点数になります。つまり、一つの病名で初めて病院にかかれば(初診の時)、530点となり、窓口会計は1,590円となります。もっとはっきり言ってしまえば、診察して薬だけもらっても、診察して検査をしたりレントゲンを撮っても、点数は同じで窓口の会計も同じということになるのです。今までの出来高払い、つまり検査やレントゲンなど行っただけ点数が加算されるのとは、全く別の型となるのです。小児科の先生たちの間でも大きな問題となっていますが、厚生省の決定なので従わざるを得ないというのが、現在統一した考えです。
 確かに、おかしいことかも知れません。厚生省の目論見には、無駄な検査や薬剤を減らすということもあるようです。しかし点数が同じだからといって、重症なのに治療の手を抜いたり、必要な検査を行わなかったり、薬剤を節約したりということは医の倫理上あり得ません。包括制の導入は、診療所(開業医のことを言います)が選択できることになっています。するとまた別の問題のでてきます。外来診療料を選択した場合と出来高払い(従来の方法)を選択した場合で、診療所によって窓口の会計に差が出るということが起こってしまいます。つまり同じ病気でかかって同じ薬をもらったのに、A医院とBクリニックでは、窓口で支払うお金が違うということになってしまいます。
 しかし幸いなことがあります。包括制は、年齢が3歳までしか適応にならないということです。現在、仙台市には乳幼児医療助成制度があり、3歳(の誕生日)までのこどもが対象になっています。所得制限はあるのですが、約90%が受けられることになっています。つまり、ほとんどのこどもたちは、助成によって無料になるわけです。保険の種類によって窓口会計が無料になる場合と窓口の支払が必要ですが後で戻ってくるという違いあります。窓口で支払うというのは、戻ってくると知っていても安いほうが得をした気分になるのは当たり前です。しかし、こどものための医療費です。戻ってくるのですからそんな気持は捨ててしまいましょう。
 大事なのは、医療助成制度があるのに申請をしていなければ、受けられないということです。申請していない人は、区役所に相談してみてください。せっかく税金を払っているのですから、与えられる権利は行使しましょう。
 3歳までの全てのこどもに医療助成制度が適応されるよう、小児科医会では努力しています。

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