かわむら こども クリニック NEWS  平成7年5月号


こどもの救急

 9月9日は、救急の日です。少し、救急について考えてみましょう。
 大人では、脳出血、心筋梗塞や交通事故等、すぐ浮かんできます。こどもにとって、救急とは、どんな状態なのでしょうか。もちろん、第一にあげられるのは事故です。あまり知られていないことですが、1歳を過ぎると命にかかわる原因は、病気ではなく事故が一位となっています。内訳では、年少では溺水(水におぼれる)、年長になると交通事故が、最も多く見られます。溺水が多いとは、思い浮かばないかも知れませんが、事実です。日本の場合は、室内特に浴そうで、起こっています。こどもは何時、どこへ行くかわかりません。トイレでも風呂でもベランダでも、どこへでも行ってしまいます。危険な場所に行かせないことが大切ですが、たまにはお母さんも、うっかり昼寝をしてしまいます。そんな時でも大丈夫なように、鍵をかける習慣や鍵の位置を替えたり、こどもの力では、開かないようにする工夫が必要です。
 転落もよく見られる事故のひとつです。最近、洗濯機の上から落ちたということで、続けて何人か病院を受診しています。洗濯機の上で遊んでいるわけではありません。たまたま、お風呂上がりに、お母さんが体を拭いているすきに、落ちてしまったのです。それが、産まれて初めての、寝返りだったというおまけまでついていました。これも同じです、何時寝返りやつかまり立ちをするかわかりません。床に置くのはかわいそうな気がしますが、落ちたらもっとかわいそうです。ベビーベッドの柵を上げておくのも、同じことです。
 次は、交通痛事故のことを考えてみましょう。交通事故は、道路に飛び出して、はねられることだけではありません。こどもを乗せていて、衝突したり急ブレーキをかけたりでも、事故は起こります。特に助手席は、顔や頭から飛び込む可能性があり危険です。こどもを、助手席に乗せることは、やめましょう。最近チャイルドシートの使用が、強調され、車の中での事故を防ぐ運動もあります。かわいい我が子のために、チャイルドシートを準備することも、考えてみましょう。
 どんな事故も同じで、起こってから始めて後悔します。『後悔、先に立たず』の諺どうり、起こってからでは遅いのです。こどもは、自分から、身を守る方法を見つけることが出来ません。親が代わりに、見つけるのは当然であり、義務と考えましょう。
 最後に、救急車の利用について考えてみましょう。救急といえば、かならず救急車が登場します。実際に同乗したことのあるお母さんもいるでしょう。小生はと言えば、新生児を産院に迎えに行くときに、散々乗ってしまいました。乗ること自体、あまり気持がいいものではないのが、その感想です。救急車の出動件数は、年々増加していることは、皆さんも御存知でしょう。仙台市の場合、救急車の年間出動件数は、19,685件で、26.7分に1回、1日平均とすれば、54件となっています。言っては、いけないことかも知れませんが、中にはタクシーがわりに利用する人もいるようです。こどもの場合、“ひきつけ”で利用することが、多いかも知れません。以前からも書いていることですが、熱性痙攣は見ていると不安が大きくなりますが、基本的には短い時間で止る良性の病気です。前の記事を参考に、お母さんがしっかりすることが大切です。
 救急の日を機会に、もう一度こどもの回りの危険度をチェックしてみましょう。救急車は、安易に使えば、次の人の対処が遅れるかも知れません。命にかかわるような重症な人を優先したいものです。救急車の利用についても、もう一度考えてみましょう。
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