かわむら こども クリニック NEWS 平成17年11月号
クレームメール
先月、クレームメールをいただきました。反省を込めて厳しいメールへの思いを書きます。普通、投書やメールは読者の広場で紹介します。思い起こしてみると、200年10月に患者さん専用アドレスを設定して、以来1300通を越えるメールを頂いています。本当にありがたいことです。医療相談が約1/3を占め、その他報告や問い合わせなどもあります。院長やスタッフへの感謝やお礼なども20%近くあり、小生の骨折の折りには多くのお母さん方から暖かいお見舞いを頂き、つくづく幸せ者と感じていました。
この記事のきっかけは、10月の初旬の匿名のメールです。「3年間、度々お世話になりありがとうございました。川村先生は、お医者様として技術的には素晴らしいのだと思います。各地から講演会などの依頼が来るほどですのでよほど立派なお医者様なのだろうと確信しています。病院もいつも患者さんで埋め尽くされています。それほどに皆、先生を信頼して来院しているのです。いくつもある小児科の中から、わざわざ川村先生に診て頂きたいと。私もその中の一人でした。川村先生に関する噂は色々と聞きました。が、私自身が先生を信頼していたので周りの声に惑わされる事はありませんでした。それだけ先生を信頼していたんです。しかし、もうお世話になることは二度とありません!先生はお子様をおもちですよね?子を思う親の気持ちは当然分かりますよね?子供の症状に不安を抱え病院へ行きます。その不安を少しでも取り除く事も医者の役目ではないでしょうか。それは誠実な対応です。患者は必要以上に質問をしてはならないのですか?お金も払っているのですよ。先生の云う事だけ『はい、はい』聞いていればよいのですか?先生から見て、どんな馬鹿げた質問を投げかけられたにしても、誠実に対応するべきではないでしょうか。医者として人間としてです。少しは患者の立場になって考えてみてください。先生には失望いたしました。」
正直言って、かなり厳しい内容で大きなショックを受けました。特に、医師として人間として誠実な対応をしていないという点には、目の前が真っ暗になりました。理由はどうあれ、このような思いをさせたのは自分の責任です。そのような理由から、お詫びのメールを差し上げました。
「わざわざ、ありがとうございました。こういう内容は、かなり書きにくかったでしょう。申し訳ありません。できる限り対応してはいるのですが、なかなか私も人間ですから充分ではありません。お母さん方から、いろいろな声を聞きながら、診療に生かしているつもりです。折角当院に通ってきて頂いたのに、申し訳ありません。人の力は小さなものです。私の力では、全ての人に満足を与えることは出来ません。しかし、多くの人たちは満足してくれて、クリニックが混雑していても通ってきているのだと思います。本当に、ありがたいことです。そんなお母さん達の声は、新聞にも載せていましたよ。お叱りのメール(たった1件でしたが)、それも隠さず載せていました。昨日時間外にきた患者さんのメールの一部です(30分近くも話して帰りました)。“先ほどは、6時過ぎにもかかわらず、○○の話を親身に聞いていただき、ありがとうございました。スタッフの皆さんも、ぎりぎりの受診にもかかわらず笑顔で対応していただき、ありがとうございました。”こういう対応も心がけているのです。ひとつ残念なのは、3年も通って頂いていたのに、クリニックでのかかりつけ患者さんとのコミュニケーションの取り組みを利用して頂けなかったことです。患者さん専用のメールアドレス(毎月20件以上今まで1300件)、お母さんクラブ(7年も続いています。今まで延べ950人以上のお母さんが参加しました)などもあったことは、御存知だったと思います。メールでもサークルでも、いろいろな悩みや相談も受けていましたよ。スタッフも自分の時間を犠牲にして、お母さんたちのためにと活動しています。人と人との繋がりには、相性というものがあるのだと思います。その相性がたまたまよくなかったのではないでしょうか。どんな理由を付けようとしても、このような思いをさせてしまったのは当方の責任です。ごめんなさいね。普通はクレームメールをもらった人は、腹を立ててしまうことかもしれません。腹を立てたのでは、自分がいつも言っていることと違ってしまいます。誠意を持って対応していることを知って頂くために、こちらもまじめに返事を書きました。そして、是非当院の取り組みを理解してください。それでは、3年間ありがとうございました。そして最後に、不快な思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。出来れば名前を書いて欲しかったと思います。そしていつか、思い出してください。医師から、こんなメール(手紙)をもらったことを。」
新聞をいつも読んで頂いているお母さんたちはよく理解していると思いますが、当院の活動の原点は理念である「お母さんの不安・心配の解消」の解消です。そのための活動は、人一倍行なっています。それが伝わらなかったことが、非常に残念です。もう少しコミュニケーションが取れたら、お互いいやな思いをしなくて済んだのだと思います。
このようなメールを頂いたことを反省の材料として、診療に生かして行きたいと思います。でも、かなりのショックでした。多くのお母さんの慰め(反論)のメールをお待ちしています。クリニックで行なってきた活動が間違っていなかったことが確認出来ればと思います。よろしくお願いします。
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