かわむら こども クリニック NEWS  平成16年 11月号


奇跡の救出 -新潟県中越地震-

 今年は、台風や集中豪雨、そして今回の新潟県中越地震など、自然の猛威を改めて感じさせられました。 被災者の皆様にお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈りいたします。
  さて、新潟県の中越地震は10月23日の17:56分におこり、仙台でも震度2〜3で揺れを感じました。震源地は10kmと浅く、マグニチュードは6.8で、震源地近くでは震度6強(後で分かったことですが川口町では震度7を記録)の大きな揺れを示していたようです。報道が伝えてくるたびに、次第に被害状況が明らかになってきました。直後にも震度6の余震が続き、余計に被害が広がりました。
  多く方が亡くなり、10月末には37人を数えています。地震の直接的な原因以外に、ストレスやエコノミークラス症候群が原因にもなりました。被災後は余震による倒壊を心配し、避難所や車の中での生活を余儀なくされています。我々には想像ができないことなのですが、避難所での生活も大きなストレスの原因となっているようです。広い場所に多くの人たちが収容され、プライバシーが無いばかりか、他人への気遣いや不十分な食料(それでも随分改善はされてきているようですが)、被災した家屋への不安、将来の心配など、数え上げればきりがないストレスにさらされているでしょう。また自由に身体を動かせない車中での生活、寒さ、雨も大きな問題です。
  そんな暗い話題が多い中、優太ちゃん救出は被災者の方々にも勇気を与える出来事のひとつだったでしょう。お母さんとお姉ちゃんとともに車で走行中、23日の本震の時に土砂崩れに遭遇したようです。父親との連絡も取れず、一時行方不明となっていました。ところが26日の夕刻に土砂崩れ現場で、車が発見されました。翌日から救助活動が始まり、27日の午後に無事に救出されたのです。救出はまさに奇跡と言っていいもので、車と土砂の間にすき間があったこと、季節も脱水を起こすような高温でなかったこと、真冬でなかったこと、そして空から車が偶然発見されたことなど、様々な条件が運良く重なり92時間後の無事な姿での救出となりました。救出の模様が何度もテレビで放映されましたが、とても感動的なものでした。多くのメディアで奇跡として扱われましたが、その陰にはレスキュー隊の自分の身すら省みない素晴らしい活躍がありました。土砂にうずまった車からの救出は、さぞ困難だったと思います。車内に入り込んだ多くの土砂や鋼材など、除去による崩落の危険から手作業で進めていったとも聞いています。余震による土砂崩れへの恐怖の中、使命感に満ちた隊員達の姿は久しぶりに本物のプロ意識と言うものを感じさせてくれました。優太ちゃん車から抱き上げられた時生きているとの観測から、大きな歓声が上がったことでしょう。その優太ちゃんが裸で救出され、隊員の一人が無意識に自分の着ていたコート(?)を着せてあげた思いやりのある姿をみて、また感動したのは自分だけではなかったと思います。お母さんとお姉ちゃんは残念ながら亡くなりましたが、一人だけでも助かったことには大きな意味があります。優太ちゃんには大きな怪我も無く、少しずつ回復している様子です。きっとお母さんとお姉ちゃんが、優太ちゃんを守っていてくれたのでしょう。3人の生存を信じて、救出を続けてきた隊員達には、無念さがあったかもしれません。隊長のコメントの「お母さんやお姉ちゃんの分まで優太君に生きて欲しい」には、その無念さがにじみ出ていました。しかし、一人の命を救った活動には、大きな拍手送りたいと思います。
  このような状況から、また命の重さを学ばされました。身内や子どもを思う親の気持ちの強さ、それとは逆な不安や心配の大きさ。これらは、我々の医療にも通 じるものだと思います。我々も被災者の方々のために、何かできることがあるかどうか、考えてみましょう。未だに多くの方々が、様々な死活に関わるような問題を抱えています。この記事の内容は、ほんの一部だけのことです。記事を書いていて阪神大震災(平成7年2月号)のことも思い出されました。わずかな手助けになればと思い、受付に義援金の箱を用意しました。是非、募金に御協力ください。


新潟県中越地震義援金の御案内
・日本赤十字社新潟県支部
郵便振替 口座 00530-2-2000
通信欄に新潟県中越地震と記載 手数料無料

・テレビ朝日 ドラえもん募金(11月24日で終了)

0990-53-5000(1回で100円の募金)
ドラえもんの声が聞けるよ

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