かわむら こども クリニック NEWS  平成23年11月号


宮城母性衛生学会学術集会

 10月30日仙台市医師会館で、宮城母性衛生学会学術集会が開催されました。講演はいろいろと行ってきましたが、今回は初めて“教育講演”を担当しました。宮城母性衛生学会は、産婦人科の領域の学会で、主に助産師、看護師、そして産婦人科医師で構成されている学会です。今年の学術集会は仙台赤十字病院新生児科山田雅明先生が会長を務め、講演を依頼されました。自分も一時山田先生と新生児医療をともに経験したこともあり講師を引き受けました。
 演題名は「新生児医療から生まれた子育て支援」です。内容は、先月号(2011年10月号)の記事そのものです。お読みなった皆さんはおわかりのように、気仙沼で生まれて、杏林大学を卒業した後、国立仙台病院で研修後、国立小児病院から始まった新生児医療に長年従事し、“母親の流す悲しみと喜びの涙”に育てられた小児科医が「お母さんの不安・心配の解消」の理念を掲げ開業し、18年に渡る子育て支援活動を「継続は力なり」の言葉を信じて取り組み続けたことを紹介したものです。
講演はただ真面目なことばかりの羅列では、聴衆は受け入れてくれません。職種も、性格も、そして眠気も様々です。内容は当然ですが、いかに聴衆の興味を引き、講演の世界に引き込むかが、ある意味講師の腕のひとつです。中身が多少薄くても面白い講演と、中身が濃くてもつまらない講演は、どちらが評価されるでしょうか。医師になって33年半生に渡る小児科医としての取組みを話すので、興味がなければ単なる自慢話のように思えるかもしれません。
 実際の流れを紹介しましょう。まずは、“自慢話に聞こえるかもしれませんが、しばしの間耳と目をお貸しください”から始まりました。半生を語るような講演に憧れ、その際には誕生の写真を是非使いたいと思っていました。古いアルバム探しに時間をとられましたが、なかなか良い写真が見つかりました。“赤ちゃんは笑顔を与える”という言葉を講演中にも使いましたが、可愛いという言葉は聞こえませんでしたが、3枚の写真を見せたこともありクスクスとの笑いがあがりました。ここでの笑いは重要なことで、どんな話か聞いてみようと講演へ引き込まれる切っ掛け作りとなったはずです。次は研修医時代のパンチパーマ、自分でも笑ってしまう程ですから、当然大きな笑いが取れました。新生児医療時代の写真とエピソードを並べ、開業以来の子育て支援活動、理念の大切さや維持することの重要性を50分講演しました。息抜きとして、ダイビング、上遠野太洸君、森永卓郎氏、飼い猫のあくびの写真にも、助けられました。
 他には、小松島小学校4年生の性教育の授業から始まったPTA行事「赤ちゃんはどこからくるの」では未熟児の成長を元にして“命の大切さ”を、学生・研修医実習では理念を次世代に伝えることの意義も紹介しました。また子育て支援の限界の“悲しい出来事”として、乳幼児突然死症候群(SIDS)、そして日齡4の死亡新生児搬入事件にも触れました。
 Mail Newsや震災後患者さんから戴いたメール、そして前日の“こんばんは!今日は久しぶりに親子で診察をしてもらい、Dr.川村の変わりない理念にホッとしました(*^o^*)Dr.川村マジックですねo(^-^)o今日もうがい薬の使い方に納得して帰宅しましたv(^-^)v『継続は力なり』と言いますが、簡単な事ではないですよね(><;)でも、いつまでも変わらずにいて下さい!今日もありがとうございましたm(u_u)m”を紹介しただけでなく、還暦のお祝いの写真も含め、コミュニケーションが確立されていることと、多くの患者さんに支えられていることも伝えることができました。
 講演前に撮影した山田会長とのツーショットの写真を撮影し、最後に会長への謝辞とともに写真を紹介しました。これも指名してくれた会長への気遣いでした。翌日会長から“教育講演、お疲れさまでした。おもしろかったと、好評です。ありがとうございました。参加者も226名と今までで最高でした。先生もお身体に気をつけて、ご活躍ください。”を頂き、“おもしろかった”とは異なる評価を頂きたかったのですが(笑)、充分満足できた講演となりました。
さて、還暦を迎えた月に教育講演を依頼され、半生に渡る自分の生き様を話す機会があるとは思ってもいませんでした。まして、憧れだった生まれた時の写真を使った講演。前日にもらったメールが、まさに講演の内容そのもの、何と巡り合わせが良く、幸せな小児科医ということを、つくづく実感することができました。
 これも、かかりつけ患者さんを始め多くの方々のお力添えのお陰です。この場をお借りして感謝を申し上げます。


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